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柚莉がいたから今日まで来れた。
柚莉が背中を押してくれたから。
もちろん、ジンくんも。
紫耀にジンくんから連絡が入り、柚莉の予定を聞かれた。
ちょうど2人とも来週の土曜日が休みが被ってる。
そしたらこれまたちょうど紫耀たちも音楽番組の収録があるみたいで
午後から自由らしい。その日しかない。
初めて紫耀に会ったあの日。車の持ち主じゃないジンくんが登場して最初の印象は怖かったけど喋ってみると優しかった。普通に話しかけてくれたあの笑顔は私も忘れることはできない。
思えば、ジンくんにもたくさんお世話になったなあ。
" 俺で良ければいつでも話聞くよ "
その言葉で何度も救われた。
紫耀と付き合えたのもジンくんのおかげでしかない。
柚〈 え、ちょっと待って、ジンくんと平野くんと？！ 〉
〈 うん、なんか初心に戻ろうとか言ってて 〉
柚〈 なにそれ死んじゃう…… 〉
〈 いやそうだよね……私もそう思う 〉
『それぞれで箱根行って現地集合！』って言い出した紫耀。
もちろん私と柚莉がペアで、紫耀とジンくんがペア。
あの日のように、偶然を装って会おうと言うのだ。午後からだし宿なんか取れないから普通にドライブになるけどって。なにそのスリル満点なダブルデートは……！！！！
柚莉なんか事態を把握出来てないみたいで無言が続く。いや、そうだよね。あの時と環境が大きく変わりすぎてるもん。たまたま泊まりに来た場所で偶然会ったアイドルのファンになって、その人とデートするなんて、誰も想像してなかった展開だよね。そもそも私と紫耀が付き合ったのだって信じられないもんね。
柚〈 ……ジンくんって彼女いないの？ 〉
〈 うん、そうみたい 〉
柚〈 ねえどうしよう。めちゃくちゃドキドキしてきた 〉
〈 ふふっ、楽しみだね 〉
電話を切って、紫耀に伝えたら《 こっちも盛り上がってんぞ 》って。ああ、2人が付き合ったら最高なのになあ。
『俺らは俺らでイチャイチャターイム！』
「えっ？！」
『なに？嫌なの？』
「ううん」
『おいで』
「ふふ、うん」
私たちの休日もあと少しで終わってしまう。
会えなかった分を埋めるように、一気に縮まった2人の距離。
これからたくさん紫耀を知って、私を知ってもらって……
ずっと一緒にいられますように。
そんな小さな願いを込めて。
両手を広げて、私を待つ紫耀の胸に飛び込んだ。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年5月25日 22時
