２つの合鍵 ページ22
．
" 紫耀 " と呼ぶようになった。
" A " って呼ばれるようになった。
慣れないながらも、少しずつ恋人らしくなってきたかな。
昨日はそのままの流れでお泊まり。疲れてたのか、紫耀はぐっすりだった。 寝顔もかっこよくて、誰にも見せたくないと思った。その間も手は握られてて、離してくれなかった。
『……んっ、』
「おはよ」
『わ、俺、ごめん……そのまんま寝てた？』
「うん、ぐっすり」
パンツ一丁のまま、シーツを被った状態で爆睡。
あ、私はちゃんと服着てるよ？
『あーAだー』
「……えっ、 ちょっ、」
裸のまま抱きついてくるから恥ずかしくて避ける。
『なんで避けるの』
「だって……」
『昨日はあんなに甘々だったのに』
「言わないでよ！」
『ふはっかーわい〜』
余裕すぎてずるい。私はこんなにもドキドキしてるのに。
朝からこんな甘々な紫耀を味わえるなんて思ってもみなかった。
『今日もここいていい？』
「うん、もちろん」
『……あ、ねえ、これ渡しとく』
「えっ……これ……」
『いつでも来ていいから』
キーケースから外された合鍵。彼女の特権。
すごいなにこれ。やっぱ夢だ。
「……私が持ってていいの？」
『うん！なんで？』
「……いや、 嬉しくて」
『あは、それはよかった。Aのは？俺にくれないの？』
「あ、ちょっと待ってて」
ちょうどベッドの付近に置いてある棚の一番上の引き出しに合鍵が入っていて、そのまま渡したらすぐに自分のキーケースに取り付けてた。
『やばいね、こーいうの』
「え？」
『めっちゃドキドキすんね』
「うん」
キーケースからぶら下がる鍵をジャラジャラ揺らして
私に見せつけてきた。なによ、もう、可愛いな。
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作者名：詠夢
| 作成日時：2021年5月25日 22時
