× 1 × 駒side ページ2
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なんやかんやあった半年後────
「結婚を前提に、お付き合いしていただけないでしょうか?
お願いします!」
「………」
勤務終了後、夜。
尚ちゃんからの連絡で、我らがMERの喜多見チーフの家にいた。
今日は久しぶりに、外食しよっかって 話をしていたのに、その予定は大幅にズレ、何故か赤塚知事の手料理で、夕食が終わることに。
そして、それを手伝っていれば、私の目の前ではチーフが尚ちゃんに、真っ赤なバラの花束を差し出している。
「固い、喜多見くん!」
「えっ…」
「重い、結婚前提とか。
Aさんも、そう思うわよね?」
『うんうん、前提なんて付けてもどうせするんだから、結婚してください、の方がいいと思います』
「普通に誕生日お祝いするだけにしましょうよ」
「ダメ。こういうのはね、誰かが強引にやらないといけないの。
縁談おばさんとお姉さんの言う通りにしなさい」
『いや、お姉さんって歳でもないんだけど…』
高輪先生の元旦那のチーフに、先生の誕生日の日にプロポーズをさせよう、って連絡をしてきたのは、紛れもないこの赤塚知事。
最初は、私だけが行くはずだったんだけど、たまたま迎えに来てくれていた尚ちゃんに丸め込まれた。
「何て言えば良いんですかね?」
「その前に、部屋を片付けた方がいいのでは」
「えっ、これでも片付けたんですけど」
『あ、やっぱり私、チーフのお宅訪問して炊事洗濯、やっぱり、』
「Aはなにも関わるな。ただでさえ、救命医との両立で疲れてるだろ」
『まっ…否定できない……』
「それと、私ではなく赤塚知事で練習するべきだと思います。」
「女性を練習台っていうのはさすがに……」
「私も、気持ちのいいものではありません」
「ですよね。」
「あら、音羽さん。私は最初、Aさんを指名していたんだけど?」
「それは尚更良くない。
赤塚知事、彼女はもう結婚もしているんです。そういったことは、練習であってもやめて頂きたい」
「まぁまぁ……男の嫉妬は見苦しいわよ。」
「すいません、何か色々お願いしちゃって。A先生も、お疲れのところなのに」
あぁ、尚ちゃんのせいでチーフまでもが私の事を労り出してる。疲れてなんかないのに……。
「赤塚知事に駆り出されただけですから。Aに関しては勤務後に」
「……ですよね」
あぁ……尚ちゃんの攻撃で、チーフがどんどん撃沈していってる……私は大丈夫なのに……
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2023年4月16日 22時