独眼竜の想い人 - 参 -

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政宗くんの思いを信じたいから、雑念を振り払っておくと静かだった明智くんが立ち上がるなり私たちに言った。


「待ってください！

あの……今無理やり、黒百合を攻撃するのは、得策だとは思いません。間違いなく、大戦になります。」


「…信長

やっぱり、家康を倒すしかねえんじゃねぇのか？」


「そうじゃ。

元はといやぁ、全て家康がまいた種。」


「武田があそこまで繋いでくれたんだ。

ケリをつける時が来たんじゃねぇか？」


「………是非に及ばず」


井伊くんたちの説得に、織田くんは何を思い考えているのか、表情からは何も読み取れないけど、ただ一言そう言う。


そして彼を見ていたけど、特に何も起こらなさそうだから、もういちど政宗くんに向けるといつの間にか居なくなっていた。


『えっ、井伊くん、政宗くんは？』


「便所」


『………いや、はっきり言わないでよ』


「じゃあ何て言やぁいいだよ！」


『トイレ、とか？』


「言い方変えただけじゃねぇか」


『そうだけど！まだ、こっちの方がマシ！！

全く。井伊くんって、デリカシーの欠けらも無いよね！』


「はぁ？？んだと、田村………って、ちょっ、待て！おいこら、逃げるな！！」


政宗くんの場所は分かったけど、もう少しオブラートに包んで欲しかったなぁ〜、って文句をぶつけて暇だからって理由で教室を出ると、適当にさまよってみることに。


まだ行ったことがない教室なんかを、しらみ潰しに回って行けば白い服がどこかに入っていくのを見つけて、こっそり追いかけると、着いた先は書道教室で中に入る前に、武田くんと上杉くんがいたから慌てて隠れた。


「もう傷は癒えたのか？」


「こんな時に、猿どもと一緒に寝てたら、笑われるだろう。」


「フッ……」


「しかし……家康に挑んで、信長に繋げようと思ったが、ヤツらの勝負も結局、先送りになっちまったな」


同じように、どこかで映像を見ていたのか、武田くんが呟くから、そんな事ないのにって思う。


「でも、お前の戦いは決して無駄にはなっていない。

あの戦いで、お前は示してくれた。今の僕達ならきっと、これまでとは、違った戦い方が出来る。

────お前の作った石垣は、そう簡単には壊れないよ」


かっ………かっこいい………！！え、なに、上杉くん、めちゃくちゃかっこいいこと言うじゃん。やっぱり、2人の絆はすっごく強い……


「あれ？田村ちゃん、こんな所でどうかした？」

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