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結局、あれから武田くんに何も言えなかった私は、黒田くんに自転車に傷があることだけを伝えて、ネチネチと文句を言われた。
武田くんは、気付いたら居なくなってて、今日あったこと誰にも言わないでくれるよね、なんて呑気に考えていると、政宗くんが荷物を持って私の元に駆け寄ってくる。
「A、待ってたぞ」
『あれ、政宗くん、授業は？』
「早退きだ」
『そっか、じゃあ私は教室に、』
「Aも早退きだ」
『…………うん？なんて？』
「まだ早退きはしたことがなかっただろ。
今日くらいしたって、何も変わらないさ」
『うわぁ、そういうの絶対に良くないと思うなぁ〜』
早退きなんかしたら、この開放感にやられてまたやりたくなっちゃうから、そういうのしてこなかったのに、政宗くんのせいで全部水の泡だよ。
相変わらず、私ファーストなのか荷物も持ってくれて、さも当たり前のように恋人繋ぎをしてくるから、この状況をあの金髪美少女に見られたら、と考えると冷や汗が流れる。
『………政宗くんの手って、こんなに大きかったっけ？』
「Aを守るための手だからな。
逆に、Aの手は昔と変わらずに小さいな。俺好みだ。」
『小さい？少しは大きくなったと思ったんだけど……』
「俺には、昔と変わらないように見える。
懐かしいな、昔が」
『………そう？』
なんか、昔話されるとこの先、私たちの間で何か起きるんじゃないかって、思いたくないのに思い浮かんで、もう何も言わないでって言いたくなる。
「覚えてるか？
俺と隠れんぼをしていた時、Aが、山まで行って迷子になった日」
『あぁ……帰り道が分からなくなった時ね。
政宗くんが、日が落ちる前に見つけてくれたっけ』
「Aを見つけるのも怖いものから守るのも、俺だけで十分だとずっと思ってた。
だが……」
『だが？』
「あの日、誰かに背中を押されたんだ。俺にとって、大切な者を守るために強くなる事を、改めて気付かせてくれた、恩人に」
『……そうなんだ。』
待って、本当になんかフラグ立ってない？え、政宗くんって、急に昔話するような人じゃなかった気がする。
「……Aの温もりが伝わってくる」
『それは、政宗くんのもだよ。』
「……本当に、Aは昔からずっと可愛いな」
私に向けて微笑んでくれる彼はいつも通り。でも、そんないつも通りが、過ごせなくなるなんて、この時思っても考えてもなかった。
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阿部葵(プロフ) - とても面白かったです!! 更新待ってます!! (7月13日 15時) (
レス) @page39 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
菫蝶 - とても面白かったです！続き待ってます(*^^*) (2023年3月21日 17時) (レス) @page39 id: 33064cca65 (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます☺️ゆっくりでも更新してくれて嬉しいです!大大好きの作品なので最後の最後まで読み続けます！頑張ってください！応援してます😘 (2022年10月20日 16時) (レス) @page39 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - ゆっくりでも再開してくれて嬉しいです！！大好きな作品なので最後まで読み続けます！！ (2022年10月12日 17時) (レス) id: 6b85baa8bf (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - くそぉぉお！！！好きすぎるッ！！！！ニヤニヤしちゃうじゃんかこんなの！！！不可抗力！！ (2022年10月10日 21時) (レス) @page38 id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2022年9月4日 22時
