+ 捌 玖 ノ巻 - 田村 - ページ29
×
みやびちゃんと徳川くんの奪還作戦が成功して、ジャンヌとも仲直りが出来た私は、これからの日常にワクワクしながら治療を受けていた。
そして、それが終われば教室に戻るためブラブラと歩いていれば、理事長室前で聞き耳を立ててる黒田くんを見つけるから、ゆっくりと近付くと声をかける前に振り向かれる。
「っ………田村」
『あーあ、気付かれちゃった』
「お前、何してるんだよ」
『お散歩?そういう黒田くんこそ、こんな所でなにやってんの?』
聞き耳を立てるなんて、怪しいにも程があるから、私も扉に耳を近付けようと近寄ると、腕を引かれて扉から距離を取られる。
「ばか、田村まで聞き耳を立てるな」
『なんで、なんか聞かれちゃまずいことでもあるの?』
「そういう訳では無いが……こういう事は、俺みたいな策略家がやるような事だ」
『え、こうやって今までも情報集めてたの?』
なんか、やってる事かなりヤバい事じゃん。なんて思いながら言えば、顔を真っ赤にして私の腕に優しくパンチしてくる。
「ばっっかっ!!んなわけないじゃん、俺がそんな事毎回してるわけないだろ!」
『わ、分かった、分かったからごめんって』
「全く………それより、教室に戻るんだろう。行くぞ」
謝れば許してくれたのか、ムッとした顔で言うとその場から立ち去ろうとする黒田くんだったけど、曲がり角から現れた竹中くんの姿で動きを停めた。
「黒田、ここに居たのか。大変なことになったぞ。」
「ん?」
「それと田村、お前は伊達が探してたぞ」
『え?…………あぁっ!!』
「なんだよ、声が大きいな」
『忘れてた、政宗くんが保健室に迎えに来てくれるはずだったんだ』
2人と一緒に教室へ向かいながら、治療を受けに行く前に約束した事を思い出し、頭を抱えると竹中くんは自業自得だな、って冷たい反応を見せる。
でも黒田くんは、そんなの興味無いのか暫く無言になった後、私の方を見て言った。
「お前、他にも忘れてることあるだろ」
『え?なんかあったっけ』
「………はぁ、良い良い、何も聞くな」
私の答えに、少し悲しそうな顔をしたけどすぐにいつもの顔に戻してそう言ってきた黒田くん。
いつもなら、変なのって言う所だけど、悲しそうな顔を見たら、私が何をまだ忘れているのかの方が気になって、教室の前まで来たのに、入ることなく立ち止まる。
374人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
阿部葵(プロフ) - とても面白かったです!! 更新待ってます!! (7月13日 15時) (レス) @page39 id: 9bdf52cb2f (このIDを非表示/違反報告)
菫蝶 - とても面白かったです!続き待ってます(*^^*) (2023年3月21日 17時) (レス) @page39 id: 33064cca65 (このIDを非表示/違反報告)
オタくん♀(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます☺️ゆっくりでも更新してくれて嬉しいです!大大好きの作品なので最後の最後まで読み続けます!頑張ってください!応援してます😘 (2022年10月20日 16時) (レス) @page39 id: 487a14ebf8 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - ゆっくりでも再開してくれて嬉しいです!!大好きな作品なので最後まで読み続けます!! (2022年10月12日 17時) (レス) id: 6b85baa8bf (このIDを非表示/違反報告)
siki(プロフ) - くそぉぉお!!!好きすぎるッ!!!!ニヤニヤしちゃうじゃんかこんなの!!!不可抗力!! (2022年10月10日 21時) (レス) @page38 id: 3fe02dba58 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2022年9月4日 22時