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『冠城さん、今日は平和な日でしたね』
「Aちゃんって、今日みたいな日って慣れてるの?」
『え?慣れてるって何がですか?』
Aが戻ってきて、そのまま彼女が荷物を纏めてる最中、ふとそんな事を言ってくるから、まぁ平和だったよな、と思ってみる。
「やっぱり、特命に長くいるから慣れた?」
『あ……いや、慣れたってより、基本特命はこういう部署ですから。慣れも何もないですよ』
「そうなんだ」
『亀山さんが昔言ってたんですけど、あの人が配属された時、右京さん、押収したいかがわしいビデオを真剣にチェックしてたらしいですよ』
「いかがわしいって……えっ!Aちゃんは見てないよな?」
『見ませんよ!それに、まだその時は捜一に居たので初めての現場に駆り出されてました!』
俺が聞けば、不満げに顔を顰めて答えるから、わかったわかったって。
両手を上げた所で、荷物が整ったのか先に札をひっくり返し出たから、慌てて後を追いかける。
『……でも、どうして捜一にあの時居たのに、誰も右京さんが特命にいるって、教えてくれなかったんだろう』
「…………え?今みたいに、現場に行ったら居る!みたいな感じじゃなかったの」
『違います、捜一配属でしたけど、基本は課に残って雑用やらされてました。現場になんて出してくれないので、暇で暇で』
「へぇ、君、優秀だし誰よりも現場で活躍してると思ってた」
『ゆ、優秀だなんてそんな……』
エレベーターの中で、素直に褒めれば素直に耳を赤くして、必死に否定する彼女に、こういう所なんだよなぁ……と1人思い直す。
喜怒哀楽の中で、喜に当たる所が1番雰囲気に出る。褒められたりすると尚更。
肩にかけた鞄をかけ直し、下へと下がっていく階数を見ているAを、後ろでひっそりと見つめていると、視線に気付いたのか、正面を向いたまま声が。
『────恥ずかしいです、見ないでください』
「え?見てないよ」
『嘘つかないでください、エレベーターの中には、冠城さんと私しか居ないんです。貴方以外居ないでしょ、見る人なんて』
「…気の所為じゃない?」
『え、』
「ん?」
見てたけど、ひっそりと。見てないよって言えば、ギョッとした顔で振り向くなり、嘘が本当に下手ですね、って一言。
反論しようと口を開けば1階に着き、そのまま降りようとしたから、腕を掴んで引き寄せると、そのまま地下のボタンを押した。
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㊙ - 更新されてないけど大丈夫ですか?楽しみにしてます (2022年7月31日 9時) (レス) id: 6713e19a53 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 薫さんが戻って来たときの話をお願いします (2022年7月12日 13時) (レス) id: 674b34db47 (このIDを非表示/違反報告)
AΩ ?: ???????????????(プロフ) - 短編更新お疲れ様です😆🎵🎵 良かったです❤ (2022年6月25日 8時) (レス) @page31 id: 6bf6ff9524 (このIDを非表示/違反報告)
ゆ - 更新ありがとうございます!相棒21 薫ちゃん帰って来ますね!❤ (2022年6月23日 19時) (レス) id: c46bde8163 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 長編の方が亀更新って短編も亀更新ですね (2022年5月28日 11時) (レス) id: d17a6483f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:どこかのムスメ | 作成日時:2022年3月9日 23時