あなたに溢れる日常を - short? -

＊ よく分かりません “ 杉×貴+冠 ” ページ1

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暇な特命係でも、きちんとオフは貰えるもので現にAは、いつもより遅くに目覚め普段は付けないテレビを聴きながら、遅めの朝食を取っていた。


半熟の黄身が垂れたことで、慌ててトーストを口に頬張ったところに、スマホの着信が入る。
相手も見ずに、口を動かしながらスライドをすれば、向こうから声が聞こえた。


〈おはようございます、Aさん〉


『んんっ…！！』


〈……どうかされましたか〉


電話の相手が右京からだという事に気付いたのは、飲み込み始めたときで、彼女は慌てて残りを食べれば焦ったように口を開いた。


『右京さん？こんな朝にどうしたんですか？』


〈もうお昼になりますよ〉


『え……あ、ほんとだ』


〈ところで、今何をしていましたか？〉


『今……は、ご飯食べてました、朝昼？』


〈そうですか。〉


『はい……って、あれ、右京さん、今日って出勤してるんですか？』


フルーツを摘みつつ、右京の背後が騒がしいことに気が付きそう問えば、それを否定する返答が。


〈Aさん、この後ご予定はありますか？〉


『予定……』


急に聞いてくるから、行儀が悪いけどフォークを銜えたまま手帳を取りに行く。
パラパラと開ければ、今日は何も書かれてなかった。


『────いえ！特にないですね。』


〈そうですか〉


『事件ですか？また伊丹さんに怒られますよ』


〈そんな、僕がいる所に事件ありなんて、思わないで頂きたいですねぇ。〉


『ふふっ、分かってますって！冗談です。

それで？どうされました？』


〈実は、幸子さんと、ある美術展に行く予定だったのですが、彼女に急用が入りましてね。

もし良ければなんですが、ご一緒にどうかと〉


『美術展ですか……最近行ってないなぁ〜』


右京さんの影響で、少しだけ芸術をかじり始めたから、美術展に行けるって聞くと、胸が高鳴る。しかも、右京さんと2人でってこともあるし。


『行きます！私でよければ……ですけど』


〈Aさんがいいから、こうしてお誘いしているんですよ。

では、1時間ほどで着きますので〉


『あ、そうです…………って、え、着きますので？！』


〈えぇ。都内にあるという訳では無いですからねぇ〉


『な、るほど……分かりました、着いたらまた連絡ください。少し時間かかりますけど』


〈ゆっくり準備なさってください。では、後ほど〉


そう言って切れたスマホを片手に、時計を見ては逆算すると、慌てて空いた食器を流しに置いた。

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