＊ ＊ ページ21
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『………』
「………」
ちょっと話さないか、そんな事言って、困惑している彼女は、菊池さんに断りでも入れたのか、鞄を持って部屋から出てきた。
それから、外で話すのもあれだしって思って、俺の部屋に招いたものの、何を話せばいいのか分からず、沈黙の時間が続く。
だけど、それも気を利かせてくれたのか、椅子に座っていた駒場さんの声で破られた。
『なんか、音羽くんっぽくない部屋だね』
「……俺っぽくないって、なに」
『あ、ごめん、悪い意味じゃなくてね？
音羽くんって、モノトーンなイメージがあったから、こう、カラフルな壁紙とか意外だなぁって』
急に何を言い出したのかと思えば、部屋のことについてでそう付け加えるから、あー、と声を出すとなにかに気付いたのか、小さな声が聞こえる。
『もしかして……寮の元の部屋から変えてなかったりする？』
「よくわかったな。」
『うわぁ、そっか、あーー、でも確かに、言われてみたら菊池も模様替えする前言ってたな。
すっごいダサい壁紙だって。』
「ダサ……まぁ、そうかも」
『音羽くん、模様替えしたいとか思わなかったの？』
「模様替えするの、めんどくさかった。別にこのままでいいだろって」
『それは言えてるかも。なんか、音羽くんらしいね。なんかいい』
もう一度部屋を見渡してから、一点の曇りない笑顔で見てくる彼女に、咄嗟に顔を背けると目の端で少し悲しそうな顔が見えた。
「ぁ………その、」
『音羽くん』
「なに？」
『今日は、私帰ろっか。なんか、そうした方がいい気がする』
あぁ、また俺に気を遣ってるんだ、そう思った。少し話さないかって誘った時も、俺が咄嗟にいま顔を背けた時も、きっと昼の屋上で起きた出来事が思い出されたんだ。
困ったように微笑んで、立ち上がりかけたから、考えるよりも先に声が出た。
「ごめん」
『……ぇ？』
「昼間は、ごめん。」
屋上から飛び出してから、ずっと言いたかった言葉を言うと、本当に驚いているのか目を見開いて俺を見てくる彼女。
駒場さんは、俺のことを思って提案したんだろうし、その後の午後の授業も、ずっと話したそうに時折視線を感じた。
だけど、俺の謎のプライドが邪魔して言えなくて。帰る時も、悲しそうに教室に入ってきた菊池さんの肩越しに見てきてたし。
今までこんな思い感じた事無かったのに、何故か、彼女に嫌われたくないって、思い始めてた。
続く
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マナ - 作品を参考してよろしいですか？ (2022年1月24日 18時) (
レス) id: d0a320b2d2 (このIDを非表示/違反報告)
空うさぎ(プロフ) - 駒ノ音〜Another〜作って下さりありがとうございますっ…ずっと2人の出会いが気になっていたので嬉しいです！更新楽しみにしてます՞⸝⸝ > ̫ < ⸝⸝՞ (2021年10月4日 19時) (レス) id: a700536b31 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2021年10月4日 17時
