° 試作品 ページ23
『もうっ………リリーったら、私にもペースがあるのに……』
親友の手で談話室を追い出された僕達は、とりあえず最近見つけた人目が絶対につかない場所へと向かっていた。
横では、リリーに対してなのか、可愛い(僕からしたら)文句を呟いているA。
「……それで？僕に渡したいものって？」
教室に入り、適当に椅子に座れば面白いくらいにピシッと固まって、顔を首から徐々に赤くしていくA。
『いや……あの……』
「ん？」
『た、大した……ものじゃないんだけど………』
そう言って、横に座っておずおずと差し出してきたのは、可愛くラッピングされたお菓子だった。
「え………これどうしたの？」
『その……最近、スイーツ作るのに、ハマってまして……リーマスに、試作品を、と思いまして……』
「これ、君が作ったの？」
ふっくらと表面が盛り上がった、綺麗な形をしているマフィンは、チョコチップがふんだんに使われているらしく、あちこちから顔を出していた。
小袋にギリギリしまるくらい、たくさん詰められたお菓子たちは、1年生の頃とだいぶ違った。
「僕、Aから食べ物を作ってもらったの、1年のチョコ以来だから……今だいぶ驚いてるよ」
『やだ！いつの話してるのよ……あれは、まだ包丁とか初めて触った頃だったし、これでも成長してるのよ』
「でも、料理は今でもダメだよね」
『………貴方、痛いところ突いてくるのね』
「いただきまーす」
『……って聞いてないし』
文句を言う彼女をスルーして、まだほんのり暖かいマフィンをかじれば、口の中に甘さが押し寄せてくる。
生地が甘いからか、チョコチップは少し甘さを抑えていて、それがまたいい感じになってる。
『……どう？』
不安そうに、味を聞いてくるAのことを、返答の代わりにぎゅっと抱きしめた。
「ものすごく美味しいよ。君、これでお店出せるかもね。」
『そ、そんなに良いものじゃ……』
「凄く美味しい、ほんとだよ。まぁ、お店を出すと、君の味のファンが出来そうだから、それは嫌だけど」
『自分で言っておいて、そういうこと言うのね』
「でも、それくらい美味しい。」
『ほんと？良かった……』
安心したのか、ズルズルと椅子の後ろに背をつけて、ダラりと座ったA。
あれ？………でも……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 123人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無し84755号(プロフ) - 初めまして！作品とても面白いです‼︎続きが読みたいのでパスワード教えてもらえないでしょうか？お願いします！ (5月23日 8時) (
レス) id: 46deb2646d (このIDを非表示/違反報告)
あい(プロフ) - 続き待ってます！！ (2023年1月9日 22時) (レス) id: 4bcda9126d (このIDを非表示/違反報告)
たみー(プロフ) - はじめまして！本作品はとても面白く、続きが気になるのでパスワードを教えて頂きたいと思っています！よろしくお願いいたします！ (2022年5月21日 14時) (レス) id: cc612285a5 (このIDを非表示/違反報告)
賢志郎（りん）(プロフ) - はじめまして！小説読ませていただいております！全部とても面白かったです！早速で申し訳ないのですがパスワードを教えていただきたいです！ (2022年3月28日 2時) (レス) @page50 id: 866c28599b (このIDを非表示/違反報告)
ルマ(プロフ) - はじめまして。小説読ませていただいております。とても面白かったです！この続きも読みたいのですが、パスワードを教えてもらうことは可能でしょうか 。 (2022年1月26日 23時) (レス) id: d200f97561 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2020年11月29日 0時
