☆ ごじゅう ページ5
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と、急遽予定を変更して私がいる部屋に監督さんやら、音響さんにと続々入ってきた。みんな、私を見てはペコペコと(失礼)頭を下げてきて、それが疲れてきた頃、オーディション室にゾロゾロと参加者がやってきた。
最初に入ってきたのは、ブルくん事蒼井翔太くん。彼は、私を見るなりこれでもかと目を丸くしたあと、無邪気に笑った。うん、可愛い。
その次にお杉と悠一に、かみやとDが入ってくる。……あ、今4人と目が合った、しかも同時。
Dに至っては、途端に顔を強ばらせて手と足が同時に出始めて、かみやがそれを見て声を押えた笑ってる。
石田さんや子安さんとか、鳥海さんとかしもんぬとか梶きゅんとか来て、最後に三木さんが……って、え、三木さん?!
と、全員入ると私の横にいた監督が席を立つ。いやぁ、三木さんが来てるとは……。
「八代拓真役オーディション、参加者の皆さんおはようございます。
このアニメは、今までのアニメを超えるものにしたいと思っています。そのため、生半可な気持ちでこのオーディションに参加してもらいたくない、そう考えて、急遽主役であります柳澤さんに審査員として参加してもらいました。タダでさえ、緊張していると思いますが、これから長くなるアニメの相手役にもなる方が居ることで、より気を引き締めて挑んで頂きたいとおもいます。今日は、よろしくお願いします」
情熱的に語る監督に、こっちまで緊張してきちゃう。
拍手を送ったあと、スタッフが説明を終えると今回のオーディション内容が伝えられた。
今日行われるのは、八代のセリフと自己PR。PRの方は、制限時間が5分と決められているため、長ったらしく話すことが出来なければ、短く済ませることも出来ない。自分がこの役をどう解釈しているのか、それを的確に審査員側に伝えることが重要……らしい。
最初は、1と書かれたバッチを付けている三木さんから。…あ、最初だったんだ、三木さん。
セリフが静まり返った室内に放たれると、一瞬で空気が三木さんの空気に変わる。落ち着いた感じだけど、どこか弱々しくて不安な声を出していて、さすが大御所だな……と感じる。
後に続く人たちも、顔つきを変えて台本を眺めたり三木さんを見つめたりと、様々。
ただ、1人。小野Dは、真っ直ぐに前を見つめていたのだけれど、その顔つきは普段のヘラヘラと(失礼)していて、どこか抜けてるような(ごめんなさい)感じを見せない、真剣そのものだった。
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作者名:V-GIRL | 作成日時:2019年10月21日 10時