☆ よんじゅうなな ページ2
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神谷side
恐らくだが、今、日本中のファンたちが一人の女性に対して、酷く混乱しているのでは無いだろうか。……え?誰かって?決まってるじゃないか、僕の一番大切な同期だよ。
というのも、今日放送された、柳澤A引退報道と柳澤A主演アニメのお知らせが重なった。
まぁ、僕も週刊誌に載って報道されるよって聞いたのは、昨日……いや、日付が回ってたから今日だな。
孝宏くんと有馬さんに呼ばれて、それを言われた。
率直に言って、Aはあの彼氏に嵌められた。何としてでも、自分と一緒にベルギーとかそこら辺の国に来て欲しいがために、情報を売ったんだ。それも、タチの悪い週刊誌に。
と、僕とAの事務所の社長は思っている。
Aだって、辞めるつもりなんて、サラサラないし逆に今の彼氏の愛情はもうない。全く。
もちろん、彼女の仕事に対する覚悟を彼女の演技を通して伝わっているから、同業者も対して気にしていない様子で、そこの所はとりあえずホッとしてる。
ただ、問題なのはしつこい取材を迫る記者とテレビ局のカメラ、そして何よりこの男┈┈┈┈┈┈。
「神谷さんんんん!!」
「ぅわっ……ったく、うるさいよ、小野くん」
「神谷さん!あの!お話が!」
「……はぁ〜……なに」
俺を大声で呼んでは、誰も使っていない会議室に連れ込んだのは、最近出会い最近一目惚れをし彼女にぞっこんな小野大輔。
「で?なんなの」
「やなぎーの事ですよ!!あれって、ほんっっとうに、嘘ですよね?!」
「嘘だよ、なんだよ」
「だって……その……」
「なに」
「……俺、やなぎーとようやく仲良くなれたから……まだ、共演もしてないし……」
さっきまでグイグイ来てたのに、今度はしゅんと塩らしく……忙しいな、こいつ。
「そんな心配しなくても、あいつはこの仕事を生半可な気持ちでやってねぇよ。それに、仕事が詰まってんのに、放っぽり出して辞めますなんて言わねぇから。」
「…そう、ですよね……」
「だから、お前はあいつと共演できるように、勉強しろよ。こんなくだらない記事に惑わされてる暇あんなら、オーディションの練習しろ」
明日に控える、新アニメのオーディション。俺と同じ役とほか数役を受ける小野くんに、厳しめに喝を入れれば、かなぁ〜り渋った顔をしたけど自分の中で踏ん切りが着いたのか、いつもの馬鹿みたいに大口開けて、あははと笑った。
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作者名:V-GIRL | 作成日時:2019年10月21日 10時