° 意外な特技 ページ48
『さぁ、後は高温で熱したら完成ね！』
2時間かけて、ようやく縮み薬の完成が近付いてきた。
部屋中がヒルの匂いやら、萎び無花果の匂いやらで詰まってて、少しだけ息苦しい。けど、彼女の教え方は教科書よりもわかりやすくて、リーマスが魔法薬学でAの横に座る理由もよくわかる(まぁ、彼が座るのはそれだけの理由以外もきっとあるだろうけど)。
杖を振ったら、大鍋の中に緑色の液体が入っていて3年目にして初めて、正しい薬を作ることが出来た。
小瓶に詰めれば、Aが嬉しそうに手を叩いて喜んでくれて、それを見て僕は一安心。
「ありがとう、A。君って、本当に凄い魔女だよ」
『ふふっ…ありがとう、ピーター。でも今回あなたと出来て良かったわ』
使った物を先に洗っていてくれたおかげか、大鍋だけを洗う僕に話し出した。
『おかげで、あなたの手先の器用さに気が付いたもの。私だって、魔法薬学の調合に失敗したことはないけど、それでも皮むきだって皮がついてたり、実まで一緒に剥いちゃうし……
でも、ピーターのは全然違ってた。物凄く綺麗だったわ』
「そ、そうかな……たまたま、だよ…」
褒められた事があまりなかったから、恥ずかしくなって訂正する。Aは、そんなのお構い無しに優しく言ってくれた。
『そんな事ないわ。ピーターのいい所よ。手先が器用って、あなたにとってはちっぽけな事で、もしかしたら魔法薬学とか魔法生物飼育学とかに、向いてるのかもしれないわ！だから、誇るべきよ。』
「っ……」
『もっと自信を持って？ピーター。あなた、ジェームズ達の陰に隠れてるけど、本当は人思いで心優しいこ のよ？みんなはそれを知らないだけ。だって、出てないんだもの。』
今まで言われたことがなかった言葉の数々に、目から涙が零れる。
『ピーター、あなたはもっと自分を前に出すのよ。すぐにじゃなくていい。ちょっとずつ、出していくの。
ジェームズ達だって、あなたの本当の姿を見たいはずよ？』
「……僕、ずっと自信なくて……褒められたこともなかったし……だから……」
『ピーター……？泣いてるの？』
傍に近寄ってきては、泣いてる姿を見てハンカチで涙を拭ってくれるA。
「初めてだよ、褒められたの。
……僕に、出来るかな」
自信が無くてAに聞けば、彼女はキョトンとした後満面の笑みで答えた。
『もちろん！！ピーターだもの！』
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瀬尾早くれな - 初めまして。過去編を途中までと、アズカバンを途中まで、楽しみながら読ませて頂いています。そこで新作のパスワードをお教え頂けないか、と思うのです。続きが気になって、しょうがないのです。更新、楽しみにしております。頑張ってください！ (2020年11月8日 20時) (
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作者名：どこかのムスメ x他1人 | 作成日時：2019年10月6日 11時
