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『何が、言いたいんです？』
「別に、私が思ったことを言っただけです。」
『なにそれ……まるで私が悪いみたいな言い方じゃない』
「気を悪くされたら謝ります。」
報告書を仕上げ、メールの確認を終わらせると、パソコンを閉じる。
鞄に仕舞いながらちらりと横を見れば、未だにキーボードを打たずに、真っ暗な画面を見るAがいた。
何を思っているのかは分からない。ただ、小さく身体が震えている気がしたし、何より今にも泣きそうな顔だった。
「……私は帰ります。お疲れ様でした」
立ち上がって医局を出ようと、背を後ろにした時ガタンっという音と一緒に、彼女の震える声が響く。
『じゃあ私は、どうすればよかったの』
「……」
『上司の命令に従わずにいれば、富澤さんは助かっていた。MERも出動してた。
でも……私には…上司の命令に従わないと生きていけないの！救命医としての場所を無くしたら、私が叶えたい夢はいつまで経っても叶えられない。』
もう、分からない……分からないの…苦しげに零し、力なくソファに座ったA。
彼女の言い分に、俺は富澤さんが亡くなってからずっと、考えていたことじゃないのか、なんてそんな感じがした。
「……Aは…
どうしたいんだよ、これから」
『どうしたいって…』
「俺は、あの日、赤ちゃんが助かるなら自分の官僚人生が終わってもいいって思った。
上司に頭を垂れて、ただ言いなりになるだけの人生なら、せっかく持ってる医師免許を使って、新しい命を救うべきだしそのほうが、後悔しないって。」
俺を産んでくれた母親は、満足な医療も受けられずに死んで行った。
でも今は違う。昔と比べて、充実しているし後は、誰が充実している制度を進めるか次第。これから先、母親のような生活を送る人は居ないと思う。
「自分の本能に従って、勇気を出す。これって、意外と大変なんだよ。俺も、ギリギリまで迷った。
けどさ、あの時誰かに言われた魔法の言葉が、すんなりと俺の迷いを消してくれた。」
『……なんて、言われたの』
ソファの上で両足抱える彼女の横に座れば、優しく頭を撫でてやる。
「“ あなたの事は、私が誰よりも分かってる ”」
天沼幹事長と白金大臣と、喜多見チーフの言葉に挟まれた俺は、確かに、この言葉で救われた。
昔からそうだ。
大きな決断をする時、Aが言うこの言葉は、俺にとっての魔法の言葉だった。
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どこかのムスメ(プロフ) - Riaさん» コメントありがとうございます！そうですよね、私も駒場さん好きなので、なかなかないなら作ってしまえ！ってノリで作ったので、そのように言ってくださると作った甲斐がありました笑 (12月2日 10時) (
レス) id: c3671cae8b (このIDを非表示/違反報告)
Ria(プロフ) - 素敵なお話ありがとうございます 駒場室長が出てくるお話は中々ないので室長ファンとしては凄く嬉しいです (12月1日 12時) (レス) @page11 id: b18326fb22 (このIDを非表示/違反報告)
どこかのムスメ(プロフ) - 青髪さん» 読んでくださってありがとうございます！私が見ていたドラマからなので、偏ったりがありますが……。四宮先生は出したい欲があるので、楽しみに待っていてください！他に、出して欲しいキャラとかいたら、コメントに書いてくだされば出すかも…なので、お気軽に！ (2021年8月18日 22時) (レス) id: ca5bf8a95f (このIDを非表示/違反報告)
青髪(プロフ) - 初めまして。一気にIから読んでしまいました…！！ちょいちょい医療ドラマの先生とか出てくるのが楽しみな自分もいます…！！コウノトリから鴻鳥先生や四宮先生も出てくる事を祈ってます！！更新待ってます！！！ (2021年8月18日 21時) (レス) id: 8f192a2bc7 (このIDを非表示/違反報告)
どこかのムスメ(プロフ) - sho.kano0129さん» 藍沢先生……考えますね、楽しんでくれてるようで、こちらも嬉しいです！笑 (2021年8月17日 11時) (レス) id: ca5bf8a95f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：どこかのムスメ | 作成日時：2021年8月13日 12時
