響け (ページ11)

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モトキside

モトキ「シルク、次どこいく？」

シルク「んー...あ、ここ行きたい！」

モトキ「いいね、いこう！」

小学校5年生の秋、俺はシルクと一緒に隣の小学校に来ていた。ただの遊びで、楽しそうだから寄ってみただけだった。

シルク「おい、あっちでブラスバンドの演奏やるらしいよ」

モトキ「へぇ、みてみたいな」

シルク「よし、行こうぜ！！」

当時、俺らは2人ともブラスバンド部だったが、他の学校の演奏をほとんど聴いたことがなかったから、興味本意でみにいった。

子供だからと前の方に座らせてもらい、始まるのを待つ。

人がどんどんステージに上がっていく。ようやく始まるのか、と思っていたら。

トロンボーンを持った髪の長い女の子がいた。眼鏡をかけていて、背が高い。皆お揃いのデニムジーンズに黒Tシャツなのに、ジーンズから見えるスラッと長い足のせいなのか、周りの子とは全く違った、綺麗な空気をまとっていた。

演奏が終わり、盛大な拍手が巻き起こる。綺麗な子だったなぁ、とその子のことを目で追っていると、舞台袖に入る直前、フワッとした、優しい優しい笑顔に変わった。

その笑顔を見たのは本当に一瞬だったが、俺が«恋»何てものにおちるのには充分すぎる時間で。

シルクに声を掛けられるまでボーッと舞台袖に消えていったあの子の方を向いていた。

この時俺は、名前も、学年も。

何も知らないあの子に＜一目惚れ＞しちゃったんだ。