響け (ページ2)

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私は小学校から吹奏楽部でトロンボーンを吹いていた。

もちろん、中学校でも吹奏楽部にはいる。

先生「それでは、楽器を発表する。AA トロンボーン」

楽器が決まり、それぞれのパート部屋に移動する。トロンボーンパートのパート部屋は、2階らしい。

教室の前で深呼吸する。

コンコン

A『失礼します。』

そう言って部屋に入ると、中で黙々と練習していた男の先輩がこちらに振り向き、ふわっと笑った。

先輩「こんにちは。新しい1年生の子だよね？え～っと...まず、座って？」

と言って椅子を出してくれた。
お礼を言って座ると、先輩と向かい合う形になる。

くりくりとした垂れ目に、つり眉。顔は整っていて、何より優しそうな人だった。

先輩「まず、自己紹介からかな。俺は2年3組のモトキです。今、トロンボーンには3年生がいないから、一応パートリーダー...かな？」

ぎこちなく、でもしっかり私の目を見て話してくれたことに嬉しくなり、自然と笑顔で挨拶した。

A『1年2組のAAです。よろしくお願いします。』

モトキ「よろしくお願いします。」

お互いに挨拶が終わり、なんとなく静かになる。その沈黙に耐えられなくなったのか、モトキ先輩が私に話しかけてきた。

モトキ「えっと、Aさん？質問コーナー、やりませんか？」

A『えっ？』

モトキ先輩が急に突拍子もないことをいったので、変な声がでてしまった。

A『質問コーナー...ですか？』

モトキ「うん。実は、毎年新入部員が来たとき、トロンボーンパートでやってるらしいんだ。伝統みたいなものだし...やらない？」

そんなにかわいい目で見つめられたら、やらないなんて選択肢は無い。

A『是非！やりたいです。』

なんて答えると、最初に見たようなふわっとした優しい笑顔になった。