ちゃんと ページ24
…どうして私はここに居るのか。どうして真選組に真っ直ぐ帰ることをせずに万事屋に足を運んで、銀時に会いに来たのか。それは、銀時にこうして頭を下げるためだ。しっかりと真摯に向き合って謝るためだ。それは当然のことで、私がしなければならない義務のようなものだ。銀時や従業員ちゃん達も、昨日の戦いによってボロボロになっていた。あんな、小さな子供達をも、私は巻き込んだのだ。そして、その子供達があの場に来てしまったのは、きっと、銀時のことを護るためでもあった。二人は本当に、銀時を慕ってくれている。悪態をつきながらも、私の幼馴染といっしょに居てくれている。晋助にまた子や武市、万斎が居たように、銀時にも新八くんと神楽ちゃんが居たのだ。
銀時を少しでも護るために。二人はあの戦場に立っていた。銀時が、傷付くことを、本来なら許容したくはなかっただろう。けれど、銀時の意思を二人は知っていたから、止まらないことを知っていたから、ついてきた。同じ場所に立った。それでも、銀時はこんなにもボロボロになった。
『私のせいで、アンタだけじゃない、あの子達にも……危害が及んだ』
そして、そう。あの子供達も、傷付いた。あの二人が銀時を護ろうとしていたように。銀時だって、あの二人に傷付いてほしくはなかっただろう。けれど、あの壮絶な戦いのために傷を負ってしまった。
…銀時は、私のこんな姿を見ることを、望んでいないかもしれない。派手に頭を下げることを、所望してはいないかもしれない。だからこそ昨日は、おちゃらけて、ふざけた雰囲気を作り出して、私が幼馴染達に頭を下げさせることをしなかった。けれど、謝らないわけにはいかない。頭を下げないわけにはいかない。
甘えてばかりでなんて、いられない。
『…A、』
『本当に、ごめんなさい』
アンタの大事な人達も、私は傷付けてしまった、と。その声は、静かで、けれどその中にある感情をうまく隠せていない声だった。泣きたくなった。銀時が傷付いたことが、銀時の大事な人達が傷付いたことが、それによってまた銀時が傷付いてしまったことが、悔しくて悲しくて仕方なかった。けれど、私が泣くのは、お門違いだ。だってこれは、私が招いたことなのだから。
『…ごめん、ごめんなさい』
『A』
と、銀時は私の名前を呼ぶなり、私の頭に手を置いてわしゃわしゃと撫でくりまわした。まるで犬を撫でるような手付きで。
『顔上げろや、下向いてるお前見てると、気が狂うじゃねーか』
ちゃんと前見ろ、と。銀時はいつもとは違った優しげな声色でそう言った。
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Karin(プロフ) - この作品が好きすぎてもう4回ぐらい読み返してます。とっても面白くて、感動的で、大好きな作品です!銀魂のedにも使われていた桜音という曲を聴いた時に、この作品の高杉と主人公のことみたいだなぁと感じました。高杉と恋仲だった頃の話も見てみたくなりました笑 (8月4日 19時) (レス) id: 9e7f4b97d1 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ありがとうございます!こんなご時世ですので暇をもて余すこともあるかと思いますが、私の作品なんかで良ければ読んでやってください!! (2020年5月9日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - ピピコさん» 嬉しいです!楽しみに待ってます(o^^o)その間ピピコさんの小説何度も読み返しますね笑 (2020年5月9日 21時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ミウラさん» ミウラさん!ありがとうございます…!!最後まで読んでくださり感謝です…!!高杉さんが出てくるシーンは本当に難しかったです…自分でも書いててしんどかった…!!高杉さんのお話もそのうち書きたいなぁと思っていますのでお楽しみに(o^−^o) (2020年5月9日 19時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ミウラ(プロフ) - 一気に全巻読めちゃうくらい面白かったです!晋助様のシーンがしんどすぎてずっと泣いてました…笑次は晋助様落ちの小説も書いて欲しいです! (2020年5月9日 8時) (レス) id: 3103cb23ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2018年6月14日 19時