そばにいさせて 3【怪盗キッド】

重ねたポーカーフェイス 15 ページ45

恵子ちゃんが目を輝かせながら近づく。



「Aったら大胆ね！」





私は目をパチクリしながら口を開けた。

青子ちゃんも恵子ちゃんの横に立つ。




「今日のAちゃん、デレデレなんだから！」





そして男子たちからヤジが飛ばされた。



「おめでとうー！」

「末永くお幸せになー！！」




みんな謎に盛り上がってる。


私は嫌な予感を感じながら快斗に小さく問いただした。





「……これ、どういう事」




「……いやぁ、うーん」




快斗は頭を掻きながら誤魔化す。

するとクラスメイトが黒板に指を指し、さらに盛り上がる。



そこには『結婚おめでとう！爆誕！黒羽夫婦！』

と、でかでかと書かれていた。



黒板を見た私はさらに口を開けた。






「け、け、結婚？！？！」





青子ちゃんはニヤニヤしながら私の腕をつつく。




「手紙の子に言ったんでしょ……？"私、快斗と結婚するんで"って。学校中噂になってるよ？」




(快斗！！！どんな告白の断り方してんだ！！！)



声にならない驚きが湧き上がってきた。

私は目を見開き、眉をひそめながら快斗を見る。






だが、快斗はフッと笑った後、クラス中を見渡してこう言った。




「そういう事だ。こいつは俺の嫁さんだから、よろしくな」





そう言いながら左手を胸らへんまで挙げる。


左手の薬指には首元にいつも付けているはずのリングがハマっていた。




続けて快斗が私の左手首をつかみ、同じ高さまであげる。

驚いて自分の薬指をみると、なんと同じようにリングがハマっていた。




(い、いつの間に！？つか、なんで私の指のサイズ知ってんだ！！！)




その瞬間、クラス中がドッと盛り上がる。




「結婚式呼べよな！！！」

「いつ結婚届けだすんだよ！」

「Aちゃん、ウェディングドレス絶対似合うわよ！」




みんなの言葉が私の心をつく。

あまりの恥ずかしさに顔がみるみると赤くなってきてしまった。




そして私は息を吸い込み、大きな声を出す。





「き、き、今日を持って破局します！！！！！！」




私は顔を隠しながら教室から出ていき、廊下へと駆け出して行ったのだった。









ーーーーーーーー重ねたポーカーフェイス fin

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