そばにいさせて 3【怪盗キッド】

私達を繋ぐもの 26 ページ27

〜コナン君視点〜


「おじさん寝ちゃったよ。疲れてたみたいだね」



俺は二階の事務所のドアをあけ、中に入る。

おじさんの椅子に蘭が座っており、うつむきながらキッドの白い鳩をなでていた。



「仕方ないよ...大変だったんだもん」






蘭は鳩をクッションの上に座らせ、椅子から立ち上がる。

そして窓によりかかり、外を眺めた。

外の雨の音が耳に入る。




いつもより静かに答える蘭に違和感を感じた。



「蘭ねぇちゃん？」







「お城の時助けてくれてありがとう。とてもかっこよかったよ。本当に...新一みたいで」




蘭が振り返る。

目に涙をためながら。





心臓の鼓動が早くなる。


なんて声をかけてあげればいいかわからず、黙ってしまった。





「でも...別人なんでしょ？....そうなんだよね？」




蘭の瞳から涙があふれだした。



「コナン君...」



今にも消えそうな声に俺は下を向いた。




(...限界だな)


俺は覚悟を決め、目をつむる。

そしてゆっくりと眼鏡に手をかけた。





その時だった。





「...新一？」

「えっ」



蘭が出入り口を凝視する。

振り返るとそこには、工藤新一姿の怪盗キッドがいた。


制服を着ており、肩は雨で濡れている。






「んだよ、その顔は。オメーが事件に巻き込まれたって言うから様子見に来てやったっていうのによぉ」






すると蘭は新一に駆け寄り、心配そうな表情で見つめた。



「濡れてるじゃない。待ってて、今拭くものもってくるから」





蘭は慌てて事務所を飛び出し、階段を駆け上がっていく。

工藤新一は蘭の姿を見送った後、事務所から出て階段を下りて行った。





俺は後を追いかける。

雨が体にあたる。




「まてよ、怪盗キッド」



ポアロの前で俺は工藤新一...いや、怪盗キッドを呼び止めた。

私達を繋ぐもの 27→←私達を繋ぐもの 25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す