◆ 夏恋花火 7 ページ12
りょう先輩が「こんばんはー!」ってズカズカ入っていくからそれに付いていく。
り「あれ、誰もいないみたい」
真っ暗なのにどんどん入っていくりょう先輩カッコよすぎる。
怖いものなさそう、というよりお化けとか怖いものもりょう先輩を見たら逃げていきそう。
り「じゃあ勝手に入っちゃお」
いたずらっ子みたいにそう言うと、少し古い階段を2人で登っていく。
登り終わった先にはドアがあって、それを開けたすぐ目の前には花火がドーンと花開いていた。
り「ここをAにも見せたかったんだよ」
「うわ....すごい...花火がすごく近いです...」
り「特等席でしょ?」
「こんな素敵なところ...」
ドーンドーンと連発される花火は、さっきりょう先輩が言ってたみたいにすぐ散ってしまう。
花火が消えてしまうたびこの幸せな時間がどんどん短くなっていくのを感じて、消えないで、って願ってしまう。
りょう先輩は今、どんなことを思ってるんだろう。
「手が届きそうですね」
り「え?手が届いたら火傷するよ?」
「嘘ですよ!」
り「でも届いたら自慢できるかも、やってみて?」
絶対できないって分かってて、やらせるところ、かなりドSですね、りょう先輩。
とか思いながらも、言われたことは素直にやってしまう。
手を思いっきり伸ばして、少し背伸びしてみる。
こんなに大きいのに絶対届かない。
「絶対無理です!」
り「うん、知ってた知ってた」
「Aほんとにやるんだもん」って腕を組んで爽やかに笑ってる。
やっぱりかっこいい。
りょう先輩の隣で花火見てるなんて夢みたい。
もしかしたら夢かもしれない。
り「前の彼女にさ、花火大会の日に振られたんだよダサくね?」
「あー...そんなことが..あったんですね」
り「え?そんなに暗くならないで。もう1年も前のことだよ」
そんなに暗くならないでっていうりょう先輩の顔が少し苦しそうで、暗くならずにはいられない。
り「花火大会の日に俺の恋は終わったから、また花火大会の日に始めちゃおっかなーって」
「...といいますと??」
り「Aは彼氏いないんだよね?」
「はっ..はい、いないです」
り「ってことは、俺のモノにしてもいいんだよね?」
「....えええっ?!」
その時、ドーンと今までで1番大きな花火が空に打ち上がって、周りが一気に明るくなった。
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作者名:Ma | 作成日時:2018年8月10日 21時