◆ Lemon 8 ページ8
それから、俺はあの部屋に通うのをやめた。
大会のメンバーから外されたことも、もうすっかり乗り越えて、普通に部活に行って、いつも通りの生活を取り戻した。
それは突然だった。
学年が変わるわけでもなく、何か問題が起こった訳でもないこんな変な時期だったからだ。
先生が、この学校を去ることになった。
まあ別に、もう忘れた恋心だ。
どうでもいい。
そう思うのと同時に、
ほんとにこのままでいいのか？
という葛藤。
り｢失礼します｣
結局、このままじゃダメだという俺が勝って、久々にこの部屋に来てしまった。
あの日、先生と抱き合った日のことが鮮明に蘇る。
｢あ、りょうくんだ｣
り｢なんか、久しぶり..ですね｣
｢入る？｣
り｢まあ、入っていいなら｣
｢みんなにはナイショね｣
ああ、先生はやっぱりなにも変わってない。
ずっとあの日のことを引きずってたのは俺だけか。
り｢どこいくの｣
｢ん？｣
いつものようにレモンが浮いたレモンティーを出してくれる。
もうこれをここで飲むのも今日が最後かもしれない。
り｢どこいくの？｣
｢ナイショだよ｣
いつもの遠い目。
何を考えているのか、分からない横顔。
り｢俺、先生のこと好きだった｣
｢ふふ、ありがとうね｣
り｢先生としてじゃないよ｣
｢知ってたよ｣
り｢行かないでよ、俺のせいなんでしょ｣
｢違うって｣
薄々感じていた、先生が何も無いこと時期にどこかに行ってしまうのは俺のせいだって。
それ以外考えられないって。
｢違うよ、自分のせい｣
り｢そんな...｣
｢あ、これ。お家に帰ったら読んでね｣
り｢なにこれ｣
先生がポケットから出したのは手のひらサイズの小さな封筒。
｢りょうくん、ありがとうね｣
俺の質問には答えず、先生は途中の荷造りをし始めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 134人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Ma
| 作成日時：2018年7月5日 21時
