◆ Lemon 3 ページ3
｢そんなことあるでしょう？｣
なんで初めて話したに等しい、いち生徒にそんなこと聞いたのか、今でも俺は知らない。
り｢何にもないですよ｣
｢ふーん...ま、話したくなったらいつでも話してね｣
ここで深く詮索してくるような先生だったら
きっと俺は誰にもこの気持ちを吐くことがないまま閉じ込めていたんだろう。
このもやもやをぶつけさせてくれる場所を探していたのかもしれない。
り｢明日もここに来ていいですか｣
｢みんなには内緒だよ｣
今日はなんだか話す気になれなくて、出されたレモンティーを飲み干して｢ごちそうさまでした｣と言って部屋を出た。
この時は何も思ってなかった。
ただちょっと生徒に寄り添ってくれようとする先生らしい人なんだと思っていた。
り｢失礼します｣
｢あ！ほんとに来た｣
り｢だめでしたか？｣
｢ううん、特別ね｣
やっぱり特別と言って、俺を部屋に通した。
なんで毎回そんなことを言っていたのか、今でも俺は知らない。
り｢聞いてもらおうかなって思って｣
｢はーい、レモンティーどうぞ｣
そしてやっぱりレモンが浮いてるレモンティー。
り｢先生はレモンティーが好きなんですね｣
｢ん？なんでそう思ったの？｣
り｢昨日も出てきたから｣
｢んー、先生って言うより先生の好きな人が好きかな｣
り｢へえ、先生彼氏いるんだ｣
｢まあ、そんな感じかな｣
少し居心地が悪そうに、遠い目で窓の外を眺める先生の仕草はとても綺麗だった。
り｢俺、1番落ちちゃいけない大会のメンバー落とされたんです｣
｢大会？｣
り｢陸上部で、結構いい成績残してるんですよ、これでも｣
何故か俺は先生に自分が話そうと思ってたこと以上を話した。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年7月5日 21時
