◆ Lemon 1 【RYO】 ページ1
* all Ryo side*
「最近毎日いるね」
り「それは先生の雑用になったからでしょ」
「りょうくんが立候補したんじゃない」
少し埃っぽいその部屋は、あまり人が出入りしない国語科準備室。
先生は放課後いつもここにいる。
そして、俺がそのドアをノックすると
必ず「特別だよ」と言って、中に入れてくれ
レモンティーを出してくれる。
それも必ず、レモンが浮いている。
り「いただきます」
「今日はお仕事ないよ?」
り「え?そうなの?」
「そりゃそうだよぉ、りょうくん暇なの?」
そりゃあ、部活に行かなきゃいけないし、暇じゃないよ。
でも、俺は毎日ここに来て、先生と向かい合わせに座って、レモンティーを飲んだ。
それがもう俺の日課。
「今日は泣かないの?」
り「先生ってなかなか意地悪っすよね」
「私がいつ意地悪した?」
り「今とか」
「とか?」
り「...何でもない」
先生の視線を感じて、レモンティーに浮くレモンに目線を移して、俺は言いかけた言葉を飲み込む。
誤魔化すようにそれを飲むと、先生はまだ俺を見ていた。
「もう泣かないでね」
り「ふふ、意地悪ですね」
「あ、これが?そんなつもりはないんだけどなぁー」
そう言って、微笑む先生。
クラスに国語の授業をしにくる先生。
小さな身長で一生懸命黒板に文字を書く先生。
誰にでも優しい先生。
り「それ相当やばいよ?」
「嘘だよ。りょうくんが面白くって」
俺の、好きな人。
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作者名:Ma | 作成日時:2018年7月5日 21時