東海くんとカラフルなお話。（仮）2【東海オンエア】 (ページ15)

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◆ 君が僕の心に魔法をかけた【MUSHIMEGANE】ページ15

｢ねーえ！ねーえ！！｣

本を読むと、現実の世界が全く見えなくなる。
本の世界に完全に入り込んだ時、僕は本の中の住人になる。

｢ねーえってば！！｣

虫｢ん？なに？｣

｢何って！また本読んで私のこと無視して！｣

虫｢ごめんごめん。Aも読んでみたら？これ名作だよ｣

｢本なんて読みたくないよ｣

この現実の世界はつまらない。

朝が来て、普通に仕事をして、普通に帰宅して、夜が来て寝る。

学生の時は毎日が新しいことの連続で少しは楽しんでたんだけど、もうかれこれ3年は毎日同じことの連続。

それに対して本の世界はどうか。
常になにかが起こってる。
必ずその起こったに対して結果がある。

そして、必ず決着がつく。

｢私のこと無視したから、罰ゲームね！｣

虫｢僕が悪いの？｣

｢それ以外誰が悪いっていうの？！｣

虫｢そりゃあ、この面白い本を書いた作者さんかー、この本を僕に売った本屋でしょうよ｣

｢なにその言い訳はー！！｣

そう言いながら、彼女が僕に抱きついてきたかと思ったら、チュッと短くキスをする。

Aは本当に予測不能だ。
罰ゲームとか言ってキスしちゃって、うれしそうな顔だってまだ何か企んでそう。

虫｢罰ゲームはおわり？｣

｢私の相手をしてくれるまで終わらないよ？｣

虫｢ふふ...じゃあこのままでいいかな｣

こんな幸せな罰ゲームならいくらでも受けましょうか。

ここは本の世界ではないけれど
Aが、僕のつまらない世界に綺麗な色をつける。

Aがいるなら、明日も生きてやるかって思う。

｢え？！罰ゲームだよ？｣

虫｢こんなん罰ゲームに入ってないですよ？｣

今度はこっちから、そのふっくらした唇にキスをする。

Aが、僕をつまらない世界から救ってくれたから、今度は僕がAを救おう。

そんな新しい夢ができた。

｢ふふ、やっぱり好きだなあ｣

虫｢本ばっか読んでても？｣

｢本読んでる姿も好きだもん｣

虫｢ド変態でも？｣

｢そ...そんなところも好きだよ｣

虫｢はあー...そんなん調子狂う｣

君が僕の心に魔法をかけた。
現実の世界に、笑顔をくれた。

僕はせめてもの恩返しで、これからも自分らしくいようと思う。

僕を好きだと言ってくれる君が、僕を好きな君のままでいれるように。