＃42 1割。 ページ42
きょとんとした彼女が大きな目で俺の方を見る。
｢カメさん...？｣
｢どう？緑可愛くね？｣
｢同じ家に住む...？｣
｢この前話したでしょ？同棲したいってさ｣
Aちゃんが持ってたカゴをすっと持つと、カメのセットをカゴに入れる。
彼女はまだきょとんとしてて、固まってる。
｢Aちゃんイルカのセットね｣
彼女をの分もカゴに入れて｢何かほかにも買いたいものあった？｣って聞くと首を横に振った。
それを確認してそのままレジに向かって会計を済ます。
現金で払っちゃった、カード使えばよかった。
｢買えたよ！！｣
｢としくん...｣
｢ん？また気分悪い？休憩しよ？｣
店の外で待ってたAちゃんが少し元気がない気がして、焦ってそう声をかけるとまた横に首を振った。
｢大丈夫なの？｣
あまりにもぼーっとしてるから、目の前にいるのにおーいって手を振ってみる。
｢おっ...っと...｣
ここがたくさんの人が行き交う水族館のお土産コーナーの前だということを忘れているのか。
たくさんの人たちが俺たちのことを見ているっていうのは気のせいではない。
こんなところで女にに抱きしめられてる男をおかしいと思わないわけがない。
｢ちょっと...！｣
びっくり2割、恥ずかしさ7割。
あと1割はね。
｢あっ！ごめんなさい！！なんかほんとに嬉しくて...おかしくなっちゃった！！｣
｢もう...はいはい｣
すっげー嬉しかったし、こんなところじゃなかったら間違いなく抱きしめ返してキスしてたところだけど、体を離した彼女の頭をぽんぽんすると｢行こうか｣って手を繋ぐ。
｢嬉しかったってどーせー？｣
車に戻って、空港までの道のりを確認する。
隣に座る彼女はこくりと頷く。
｢同棲のことなら何度も言ってるじゃん、俺は本気だよ？まさか嘘だと思ってた？｣
｢嘘だとは思ってないけど...あーやって言われると...ほんとなんだなって嬉しくなったんだもん...｣
｢マジだよ？なんなら次の休みに不動産屋行こうか？｣
空港の場所をセットしたカーナビがピロンも音を立てた。
｢うんっ....｣
｢Aちゃんこっち向いて｣
｢ん？なに？｣ってなんの疑いもなく向いたその顔をじっと見つめて、吸い込まれるようにキスをした。
｢ん、今日も可愛いね｣
だんだん赤くなる顔は何度見ても可愛い。
｢幸せすぎるから見てよ｣って心の隅っこで1割思ったのは内緒。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
