＃37 エスパーかよ。 ページ37
彼女がトイレに行くと言ったから、悪魔達と俺だけになってしまった。
ずっと手を繋いでいたから、この左手をどうしたらいいか分からなくてとりあえずポケットにつっこんだ。
｢想像以上に普通のカップルしてて俺は安心したんだけど！｣
てつやがそう言うと、｢確かに、もっとオドオドしてるかと思った｣って言った虫さんが続ける。
｢そりゃあもう大人の仲良ししたんでしょ？｣
｢こんな純粋な水族館でそういう話すんなって｣
｢だって気になるじゃん、気になって夜も寝れないよ？｣
もう早くAちゃん戻ってきてよ...
このいじめっ子たちを成敗できるのは君しかいないみたい。
｢したっていったらどうなんの？｣
｢へーおめでとうってなる｣
虫さんがくりくりの目じーっとこっちに向けてそう言うから、それを信じて｢したけど...？｣って返したら虫さんの表情がぱあっと明るくなった。
｢おおおおおお！！やっぱ？！｣
｢お前っ、てつや！しーっ！うるさい！｣
｢だって昨日生放送でとしみつ見た時、なんかちょっと違うなぁって思ってたんだよ！！｣
なんだよそれ、エスパーかよ。
そういうところだけ才能あんの本当にすごいよ。
｢としみつかっこよかった｣
全然喋らんゆめまるが急に喋り出すからびっくりして後ろを振り返ると、｢ね？｣って俺がなにかしたかのように同意を求めてくる。
｢は？なに急に｣
｢俺押し倒されたことあるの、としみつに｣
｢はぁ？！｣
って言ったのは俺ではなくてつや。
だって俺には思い当たる場面があったから｢ああ、あれね｣って納得してしまったのだ。
｢としみつね、すっごい男の顔するよ？｣
｢ねえ言い方！悪意あるぞ！！｣
｢ゆめまる詳しく！何したん？！｣
あーあ、なんにもしとらんのに変な方向に話が飛んじゃったわ。
こいつらいつまで俺らと一緒にいるつもりなんだろ。
｢A遅いね｣
｢だーかーらーさー｣
｢あ、ももちゃんだった？全然ももちゃんって感じしないから慣れないんだよね？｣
スマホをいじってたりょうが、周りをキョロキョロしてたのは俺の彼女を心配してだった。
いちいちいい男すぎて、もう俺のもんだって思っても悔しくなってくる。
｢楽しそうでなによりだよ｣
｢おかげさまでね｣
｢俺は何もしてないよ？｣
なんてとぼけたこと言って。
確かに、Aちゃん帰ってくるの遅いな。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
