＃32 最悪な目覚め。 ページ32
うすーい意識の遠くの方で愛しの彼女の声が聞こえる。
ずっと聞いていたい可愛い声をかき消すように、スマホの騒がしい音楽も聞こえる。
あれ、アラームこんなのだっけ...？
｢としくん！としくん！｣
｢んっ...？｣
｢おはよ！｣
体を揺さぶって、俺を起こしてくれた彼女の手には俺のスマホが握られていた。
まだなり続けてるそれを止めないのはアラームじゃないからだろう。
｢としくん、てつやくんからお電話だよ？｣
｢はぁ...？？無視する...寝る...｣
｢としくん！！だめだよ！！｣
出るのが嫌すぎて布団の中に潜り込む。
その布団はすぐに剥がされて、スマホを渡される。
寝起きの頭をしっかり働かせて、Aちゃんをちゃんと見るともう着替え終わっていた。
あれ？
今日アラームかけ忘れたのか。
なんて考えてたら、電話が切られてよっしゃって心の中でガッツポーズしたのにすぐにまた掛かってくる。
｢んだよ...｣
《あ、としみつおっせーよ！！》
てつやのうるさい声が頭に響く。
｢おっせーよって....で、何？｣
《あ！！》
｢何？！｣
《もしかして、Aちゃんと朝からいい感じのことしようとしてた？！》
｢おっ...お前さ！もう切るよ？用ないだろ？！｣
《可愛いAちゃんいるー？ちょっと話したいことあるんだけど》
｢もちろんいるし今日も可愛いけど、かわらんよ？｣
だって絶対変な事言うやん。
絶対絶対、いらんこと言うやん。
っていうなんの用なの。
《なーんで！！》
｢なんでかわれると思ってんの？！｣
《俺だってAちゃんと話したいんだよ！》
｢お前は話さなくていいんだよ！！｣
こんなやつが一緒に沖縄に来たのまじで間違いだったわ。
今日が最終日だから今更感半端ないけどさ、なんとかして阻止するべきだった。
｢としくん、どうしたの？｣
俺の声がうるさかったのか、Aちゃんが洗面所から出てきて首をかしげてる。
あ、あの水族館に行った日に着てたワンピースだ。
1年経っても似合ってる、可愛すぎる。
｢なんでもないよ！そのワンピース可愛いね｣
｢ほんと？最初に遊んだ時に着たよねぇ｣
《あ！！Aちゃん！！Aちゃんー！》
ワンピースを指さして言うと、Aちゃんもあの日の服装を覚えてたみたいで｢可愛いよね｣って裾をひらひらしてる。
その声が聞こえたのか、てつやが永遠にAちゃんのことを呼ぶからかなり最悪な目覚め。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
