＃30 天国。 ページ30
ただの生放送のはずが、精神的にどっと疲れた。
疲れた首をぐるぐるひねりながら、廊下を歩いて部屋の前に着いた。
とりあえず周りをキョロキョロと見渡して、あいつらがついてきてないかを確認。
さすがにそれはなかったみたいで、キーをかざして部屋に入る。
｢あ！画面からでてきた！！｣
ベットの上で、ぺたんと女の子座りしてるAちゃんが俺の方を指さして笑う。
はあ、天使だ...ここは天国か？
さっきまでの疲れどっかいった。
｢ごめんね、こんなときに｣
｢ううん！すっごく面白かった！｣
｢あ、手振ったの見てた？｣
Aちゃんのために振ったんだよ、恥ずかしくなっちゃったけど。
ボスんってベットに腰掛けると、Aちゃんが｢お疲れ様です｣って頭をポンポンしてくれる。
ふわふわな手がすごく心地よくて、完全に疲れが消えた。
｢もちろん！！私も振り返したもん｣
｢やっぱキャラじゃないからめっちゃ突っ込まれちゃった｣
｢でもそのおかげでバイバイもできたよ？｣
｢え？終わりも振ってたの？｣
｢当たり前じゃん！ずっととしくんだけみてたもん｣
｢私すごい贅沢｣って言うから、何が？って思ってたら｢こんな素敵なとしくんが彼氏さんで｣なんて頭爆発しそうな言葉が続いた。
｢俺が素敵？笑 メンバー聞いたら笑われるよ？｣
｢笑うわけないよー！みんなとしくんのこと大好きだもん。あ。1番は私ね！！｣
｢はぁ...抱いていい？｣
隣に座る彼女をぎゅっとする。
彼女は｢ダメだよ？｣って笑うから、｢ダメなん？｣って本気じゃなかったけどちょっぴり残念。
こうやって毎日毎日こっちが照れちゃうような言葉のシャワーを浴び続けてはや半年、慣れてくるどころかどんどんその言葉にドキドキさせられる。
｢あ、お風呂入れて置いたの！！もう溢れちゃってるかも！｣
いい雰囲気(のような気がしてただけ)だったのに。
確かにお風呂は入りたかったから、それはそれはありがたいことなんだけどお風呂に向かって歩いていく彼女を見送るのはあまりにも寂しくて。
｢としくん！入ったから先どーぞ！｣って、風呂場からちらっと顔を覗かせて言う彼女を見てさらに寂しくなって。
｢一緒に入ろ？ダメ？｣
｢えっ？！｣
｢お願いっ｣
｢お願いお願いお願い！！｣ってお菓子を買ってほしい子供みたいにせがむと、諦めたように｢入ろっか！｣って頷いてくれた。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
