＃26 ダブルベット。 ページ26
無事にチェックインを済ませたのはいいけど、Aちゃんになんて言おう。
｢てつやたちもここに来ててさぁー｣とか？
そんなの最悪やん。
デートの邪魔しないでよって思われるよね。
でもまた嘘ついてもバレるのは目に見えてるし...
｢遅かったね？｣
｢ん？そうかな？｣
｢としくん迷子になっちゃったのかと思ったよー！｣
｢そんなわけないじゃん？｣
だってここまでカウンターから一直線だもん。
さすがにAちゃんはオレンジ姿ではないてつやには気づいてないか。
生放送に顔出さないとやばいことになりそうだし、でも今回の目的は半年記念日のお祝いなわけだし...
｢あ、そういえばりょうくんからこんなのきてたよ？｣
Aちゃんがスマホの画面を俺に向けてきたと思ったら、それはLINEのトーク画面。
« 今日ちょっとだけとしみつ貸して»
とだけあっさり書かれていた。
｢なんだこれ｣
｢なんかね！ニヤニヤしちゃった！｣
｢なんで？｣
ほんとににやけ顔で画面を見つめてるAちゃん。
その理由がぱっと思い浮かばんから聞いてみると｢だって、としくんが私のみたいじゃん！｣ってさらににやけ顔。
｢はっ...｣
｢えっ？！そのはっていうの使い道増えてない？｣
いやいや、最初から俺はAちゃんのものですよ。
でもそれを改めて彼女の口から言われるとかなりの破壊力でフリーズ。
りょうからのLINEとかどうでも良くなってきた。
もう視聴者になんか言われてもいいわ。
Aちゃんとのんびりしよーっと！
｢ひろーい！｣
｢こっちもこっちでいいっしょ？｣
｢うん！あっ、ふかふかー！！｣
今日はベットだから、荷物を置いたAちゃんは子どもみたいにそこに飛び込む。
そのまま一緒に飛び込んでしまおうか？
なんたって今日のベットはダブルベットだからな！
そりゃあチャンスがあれば...今日だって。
｢きゃっ、えっ？！としくん苦しいよ｣
｢んー...疲れた...｣
結局ベットに飛び込んで、横からAちゃんにぎゅーっと抱きつくと抱き心地が良すぎて眠たくなってくる。
まずは風呂はいらんと。
体がベタベタしとる。
｢お風呂入る？｣
｢えっ...一緒に...？｣
｢俺は入りたいけど｣
｢でもとしくん、すっごい呼ばれてるけど平気？｣
Aちゃんが枕の上をちらっと見ると、俺が置いたスマホの画面が永遠に光り続けていた。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
