＃44 こうすればいい。 ページ44
｢としくん....｣
うるうるした目のAちゃんがこっちを向く。
今にも泣きそうな顔で｢りょうくん返す｣ってスマホを渡す。
はあ。
まあ岡崎とか東京とかじゃないからって調子に乗ってたかもしれないね。
｢ねえ！としみつ！見た？！｣
｢てつやくん...｣
｢えっ？！Aちゃん泣いとる！としみつなにしてんの！！｣
｢えっ、泣いてんの？！｣
｢泣いてないもん...｣って一生懸命目を擦りながら言う彼女の頭を撫でて、ごめんねって呟いた。
俺の意識の低さが原因だから泣かないで。
なんて言ってもきっと彼女は自分のことを責め続けるから今は言わない。
｢どうしよう...｣
｢なーにが｣
いつの間にか5人揃ってて、スーツケースを預けたあと搭乗までみんなで仲良く待つ。
Aちゃんはまだそんなことを言っていて、りょうのスマホで何を見たんだろう。
｢ま、こんなの嘘だよで終わるって｣
てつやが元気づけようとしてくれたのか、そう言うと彼女は首を横にふって、｢としくんのファンの人は悲しんだもん...｣って足元を見ながら小さい声で言う。
｢としみつどうすんの、彼女泣いてるよ？！｣
｢しばゆー沖縄楽しんだ感半端なくね？｣
｢虫眼鏡にやられた｣
｢え？僕？しばゆーが服ないって言ったからさ！！｣
沖縄行ってきました！！な格好のしばゆーにそんな事言われても笑えてくるわ。
｢んー...｣
｢としみつ悩んでる｣
｢ゆめまるならどうする？｣
｢視聴者か彼女かってこと？｣
｢...は？｣
｢え？俺今なんか変な事言った？｣
そうか、そういうことか。
視聴者大勢か、彼女のAちゃんかってことか。
なら答えは決まってる、これで間違ってないはず。
｢こうすればいいってことね｣
ポケットからスマホを取り出すと、たった4文字だけをツイートする。
どうすんのの答えはたったこれだけ。
俺が君にできる精一杯はこれだけ。
｢はい、俺の答え。ツイート見て｣
｢今？｣
Aちゃんがスマホを取り出して、画面を操作する。
先に見たであろうりょうが｢最高じゃんそんなの｣って笑って、その画面をのぞき込んだてつやが｢ヒューヒュー！！｣ってヤジを入れる。
« 彼女です»
｢としくんっ....｣
｢えっ、また泣いとる！！｣
｢違うのー....｣
｢あー、としみつ泣かせた｣
きっと嬉し泣きのこれはノーカンでしょ。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年9月12日 12時
