＃86 敵わない。 ページ42
こんなことになるなんて、全く想像をしていなかった。
俺は常日頃、りょうのことを尊敬している。
スタイル抜群だし、
いつも爽やかだし、
ありえんくらい落ち着いてるし、
遅刻しないし、
料理できるし、
バカなのにちゃんとしてるし、
女の子にも俺らにも優しいし、
言い出したら切りがないくらい
俺にないものをたくさん持ってる勝ち組だ。
会う度に、今日も悔しいくらいかっこいいなぁと思うのなんて、最初で最後のりょうだけだ。
｢敵わないよなぁ｣
｢何が？｣
｢うわ！ゆめまる！！｣
｢なんでそんなに驚くごわす？｣
｢いや...｣
てつやの家のダイニングテーブルで、ひとりで黙々とどうするか考えを巡らせているところに来られたらそりゃびっくりするよ。
りょうじゃなくてよかった...
｢もしかしたらライバル出現かもしれなくてさ｣
｢ああ、Aちゃん？｣
｢よく覚えてんね、みんな｣
｢としみつの想い人はさすがに面白いから覚えたでごわす｣
面白いからってなんだよ。って思ったけどつっこむ力すら今の俺にはない。
戦闘力ほぼゼロ。
今、小型犬が戦いを挑んできても負ける。
｢しかも知り合い｣
｢うわー！三角関係ってこと？｣
｢かもしれん｣
｢それもそれで面白いな｣
りょうの面白い好きはゆめまるにも移ってるらしい。
ゆめまるは、ニヤニヤしながら｢その人に直接聞いてみたらいいんじゃない？｣と言う。
絶対面白いと思ってやってるな、その顔は。
｢やっぱりそうするしかねぇのかな｣
｢だってずっとモヤモヤするよ｣
｢でもかなり知り合いだよ｣
それも、めちゃくちゃ協力してくれてるりょうだよ。
絶対そんな関係じゃないって信じたいけど
俺がAちゃんのことを言うようになってからもLINEをしてて、会ってて、それで黙ってるって。
そんなの、何かあるとしか思えんよ。
｢でも、Aちゃんのこと1番幸せにできるのは自分だって思うならぶつかるしかないよ！｣
絶対に敵わないと思う相手に、戦闘力ほぼゼロの俺は立ち向かえるだろうか。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年6月18日 19時
