恋した緑くんのお話。(仮) 2 【東海オンエア】 (ページ25)

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＃69 カレカノ。ページ25

Aちゃんは本当に水族館が好きみたいで、もしかしたら好きな子と二人きりではしゃいでる俺よりもはしゃいでるんじゃないか？ってくらいテンションが高い。

スタスタと水槽の前に行っては、横にいる俺も見えているのに、見て見て！と今回はクラゲを指さす。

そろそろイルカショーの会場に向かおうとした時だった、

｢ねえねえ、彼氏さん！彼女さんと写真撮っていきません？！｣

水族館のスタッフの兄ちゃんが俺に近づいてきてそう言う。

あー、カレカノね。

ここに来るまで何組もすれ違ったわ。
幸せそうだった。

カレカノどこだろ？

キョロキョロしてみても、それらしき人達はいなくて、隣のAちゃんが俺の顔をじっと見ている。

｢...彼氏さんって俺っ？！｣

｢ええ？！としみつくん以外いないでしょー！｣

Aちゃんは今日一の大爆笑。

なーんだ、Aちゃんは気づいてたのね、当たり前か。

｢えーっと、写真？｣

｢はい！この大きなイルカの前でぜひ記念に！｣

それはよくある、水族館の名前と今日の日付が入った看板みたいなのと一緒に写真を撮ってもらえるスポット。

そのあとこれ買いませんかー？ってあれ。
1000円とか無駄に高いあれ。

｢Aちゃんどうする？｣

普段なら絶対撮らないけど、Aちゃんとならぜひ、撮りたい。

なんなら1000円払って、部屋に飾りたい。

｢もちろんとしみつくんがいいなら撮る！｣

そんなこんなで、写真を撮ることになったのはいいんだけど。

｢彼女さん、もっと近づいてー！｣

カメラの兄ちゃんは当たり前のように俺らをカレカノと見ていて、めちゃくちゃ近づけようとしてくる。

何故かAちゃんも否定しないから、どんどん距離が近づいて、Aちゃんの髪のふわっとしたいい香りを感じるほどくっついた。

｢彼氏さん顔固いよー！！｣

｢としみつくん！笑ってよ！｣

Aちゃんが俺の顔を見上げてそう言ってくれた瞬間は、写真を撮られてることを忘れて笑えてたきがするけど

カメラ目線で自然な笑顔なんて、ドキドキしすぎて到底無理だった。