＃58 断る。 ページ14
今まで、てつやのこういう誘いを断ったことはなかったと思う。
女の子と遊ぶのはいろんな意味で楽しい。
ワイワイするのも楽しいし、キモチイイことだってできる。
って、Aちゃんに出会うまでは思ってた。
でも、今はちょっとだけ違う。
女の子と遊びたい気持ちはあるけれど、Aちゃんのことを思い出すと、その気持ちがふっと消える。
｢としみついなかったら誰連れてきゃいいの｣
｢そんな友達腐るほどいるやろ｣
2日間撮影を(正式な理由で)サボったので
久々の撮影部屋とカメラの前。
一旦カメラを止めて、休憩していると
隣のてつやは一生懸命スマホをいじって
朝言ってた楽しい飲み会に誘う友達を探してるみたい。
｢可愛い女の子がたくさんいる飲み会にはそれなりの人を呼ばないといけない｣
｢なにその無駄な信念みたいなの｣
｢だってさー、俺の連れがブサイクやったら女の子達も嫌かもしれんやんー....ねえ、まじで来ねえの？｣
｢俺は行かないってば、あ、りょうとかは？｣
｢お！誘ってみるか！｣
りょうは誰が見てもイケメンやし、完璧じゃね？
ちょうど彼女もいないっぽいし。
でも、まあ多分...
｢ああ？！行くわけないじゃん、そんなところ｣
｢そんなところとはなんだ！！｣
｢そんなところ以外どんな言い方があるのさ｣
行くわけないよね、りょうだもん。
｢だめだったー｣
｢お前がちでいけると思ったん？｣
｢え？としみついけると思って言ったんじゃないの？｣
｢思ってるわけやないやん｣
こいつバカだなあー、俺ががちでりょう誘えって言ったと思ってたのか。
またスマホをじっと見つめて、あーでもないこーでもないと言っている姿を見て、なんか不思議な感覚だった。
いつもならふたりでバカいいながら探してたんだろうな。
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作者名：Ma
| 作成日時：2018年6月18日 19時
