#30 男らしい。(★) ページ31
事件はすぐに起こった。
てつやの家を出てすぐのことだった。
最近Aさんに会ってないなーと思った帰り道だった。
「としみつさーん!!」
またいつもの写真館がある大通りで、もう聞きなれた声がしたと思ったらやっぱりAさん。
今日は大荷物だ。
「Aさんだ。久しぶりだね」
「私もすっごい久しぶり!って思って重たいのに走っちゃいました」
スーパーで買い物でもしたのか両手に袋を持っていて、小さな彼女が持っているからかとても大きく重そうに見える。
「2つとも貸して」
「えー!いいですよ!大丈夫です!」
「今重たいって言ったでしょ。隣に男がいるんだから持たせときゃいいのよ」
「えー、でもそれは...悪いっていうか...じゃあお願いします」
俺が大丈夫と念を押すと、彼女は「重いですよ?」って申し訳なさそうに言いながら袋をパスした。
「俺ね、意外と筋肉あるの」
「そんなに細いのにですか?!」
「意外とね!」
男らしいところもアピールしておく。
すると彼女は俺の手をみて確かに!と言った。
「大きくて男の人らしい手ですね!」
「手だけじゃわかんないと思うけどね」
「分かりますって!!まるっこーい可愛らしい手の方もいらっしゃるじゃないですか!」
じゃあ俺はどっちか2択だったら、かっこいいってことか。手が。
「あ、そういえばさっきオレンジの髪でオレンジの服で靴までオレンジの人がいたんですよ!!」
もうすぐでアパートというところで、彼女は思い出したようにそう言うと、思い出し笑い。
あ、それ絶対俺が今さっきまで一緒にいた人だ。
150%そうだわ。
「...へっ..へぇーおかしな人だね」
そのおかしな人の仕事仲間兼友人ですが。
「何かコソコソしてましたよ。あんなに派手な格好なのに。としみつさんにも見て欲しかったです」
その面白い人をみて、見せたいと思い出したのが俺だったのかなあ。
それとも、今だけの話題作りのためだけにそういったのかなぁ。
そんなことより、このコソコソしてたのって。
事件だわ。
368人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Ma | 作成日時:2018年6月4日 20時