見た目で選んで何が悪い【女川太郎】

18.素のままの自分 ページ18

「外見の好みも大事だけどさ…
もっと大事なのは一緒に居て楽しいかどうかじゃないの？」


静ちゃんはそう言った。


「うん…そう？
でも可愛い子とかイケメンって一緒にいるだけで楽しいんじゃ？」


俺が返すと


「とか言って。さっきからつまんなそうだよ、太郎くん」


ぎくり。


まぁ…話は合わないなと思ったけど…。


「太郎くんはAのこと好きじゃないの？」


「え？そりゃ友達だし…好きだけど…」


好きってそういう“好き”だよな？


今まで、女友達もいたしそんな特別視したことなんて、なかった。


「私さ、結構男子が近寄ってきたりするんだけど
最終的には皆Aのこと好きになるんだよ」


「え？マジで？」


「そうだよ、照島なんかもいい例だよ。
あいつ最初私にまとわり付いてきた癖に…」


そうか、照島はAちゃん狙いだったんだな。


それじゃ、もう二人で出掛けたりしない方がいいのか…


「太郎くんも照島も勿体ないよね。顔はいいのに
そんなキバツな格好してるから」


俺が彼女できない理由…


自他共に面食いなのもあるけど


服装も髪型も趣味も、個性を捨てられないのが理由かもしれない。


「美人でもこの格好に文句言う女の子とは付き合えないかな」


「じゃあ私はナシってことだね！」


静ちゃんは笑った。


「私も太郎くん、顔は好きなほうだけど
その髪型とか服装は苦手だから」


「俺だってそんなコンサバな格好苦手だわ〜
みんな同じに見えるもん」


ちょっと喧嘩腰になってしまったけど…


なんだろ。そのほうが自然に話せてる気がした。


気を使って、よく見せようとすると疲れる。


俺の本性は、これだし


きっと彼女もこれが素なんだろう。


「あんまり顔ばっかり見てると、大事なもの見落とすよ。
じゃあ私、帰るから。またね」


静ちゃんはそういい残して帰っていった。

19.女は意外と面倒→←17.一般的な女の子

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す