其ノ壱 ページ2
愛する者が死ねば自 殺をするしかありません
こんな言葉を聞いたことがある。それは酷く胸に突き刺さり、共感しないわけにはいかなかった
善人から見て俺は勇者、悪人から見て俺は死刑人
今日もウーウーウーと迷惑な騒音を鳴らし、ぐっすり眠っている人をわざと起こすような
赤い光を放ったランプをつけた車を運転して
夜のヨコハマを走り回ります。
「中原さん、あの人スピード違反です!」
後ろの席から身を乗り出して話しているこの青年はこないだ警察になりたてほやほやの新人くんだ。
そして助手席のコイツは...
「中原、スピード違反は白バイに任せろ。
俺達の目的は暴れ回っている野郎を捕らえることだろ。」
俺の同僚
『はいはい...あ、新人くん身乗り出すとこっちが捕まっちゃうから落ち着いてね』
すると、スピードをあげカーレーサーのように
スイスイと障害物を避ける
「中原...スピード違反だ」
ため息をつく同僚にお前が運転しろと言いたいのをグッと堪え言われるがままスピードを落とす
『着きました』
ドアをバンっと勢いよく閉める
「野郎はどこだ?」
「店の前で暴れてるとあったのですぐそこだと思います!!!」
「...あれじゃないか?」
『今すぐ捕まえて...え』
顔が一瞬強ばった。
「おい、中原ボーっとすんじゃねえ、早く捕まえろよ。」
『あ!あそこに強盗犯が!!!』
「どこですか!?」
「どこだ!?...ってここらへんに店は....?」
野郎を見直すとそこには何も無かった。
「消えた!?おい、中原追いかけ...は?」
横見るとそこにいるはずの奴がいない
すると、ポキポキというメール音がなり、開いてみると『今日は帰る』と言った中原Aのメールが届いていた。
「あのチビ...明日覚えてろよ。」
ギリッと何も無い空間を睨み、歯軋りを立てた
『もー、しっかり歩いて』
肩を貸し、アパートの階段を上る
「バッキャロー...俺はちびじゃ...ねえ」
『わかったから自分で歩いてよ、酒癖悪いのにこんなになるまで呑んで!』
鍵を開け、ベッドに寝かす
『中也!!!起きて』
ビクともしない彼...中原中也は深い眠りへと落ちていった
『もう...明日どうするのさ。』
兄とは久し振りに会ったが、思わぬ再会だったので少し悄げる。
『...久し振りか。』
衣服を脱ぎ台所へ向かう。
少し経つと、トントンっと心地の良い音が小さな部屋に鳴り響いた。
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作者名:腐ァーストキス | 作成日時:2017年8月16日 9時