末広鐵腸(続き) ページ6
鐵腸は私の事を覚えてはいるだろう。年賀状も来ているし。でも。
「年賀状も変わった食べ合わせの事しか書いてないですし」
「絶対にやめた方が善いですよ。鐵腸さんなんて」
条野さんの鐵腸の扱いが酷い気がする。
迷子の鐵腸を探すこと30分。私の恋愛相談と化していた時間は鐵腸の発見によって終止符を打たれた。
「条野」
「何処に行っていたんですか」
若干キレ気味の条野さんを宥め乍ら数年ぶりの鐵腸を見る。あんまり変わってない。
桜の入れ墨が彫られてること以外は。
「久し振りだな」
私の顔を見てすぐに分かったようで、すぐに挨拶があったが。
「うん、久し振りだね。えっと…」
「幼い頃のあれ覚えてる?」なんて聞いて「覚えてない」なんて云われたら傷つく。
「身長伸びたね」
これが妥協案。他になかったのか?可愛げのあるやつ。
「嗚呼」
なんか言って!お願い!
「綺麗になったな」
顔に熱が集まるのが分かった。な〜んでこの人はこんな恥ずかしい言葉がポンと口から出るのかな?
「あ、ありがとう」
条野さんが笑いをめっちゃ堪えてる。恨むぞ。優しそうだったのに。あんなに鐵腸に怒ってくれたのに。鐵腸はなんか考えると云った。
「結婚しよう」
ええええええええええええええええええええええ?!
条野さん堪え切れずに爆笑。
「約束しただろう」
「覚えてないかもしれませんよ?」
「俺は覚えてる」
条野さん!さっきの相談!おい!
でも。覚えていてくれたのは嬉しいし。
「まだ、私の事好きなの?」
「嗚呼」
「私が変わっていても」
「どんなお前でも好きだ」
条野さん携帯電話構えだした。ヤバい。
「だから、結婚してくれるか」
手を握られて。見つめられて。
「うん。いいよ」
これしか選択肢無いっていうか。これでハッピーエンドっていうか。
ほんと。この人には敵わない。
私も好きだよ。
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作者名:神無月 | 作成日時:2023年1月16日 18時