･62 暇乞い ページ23
･
五条「…は？」
今、自分達の目の前にある事実を脳が否定し続ける
ここにいる4人がそうせざるを得なかった
ﾊﾞﾝｯ！！！！！！！！
さしす『！！！』
壁に拳を強く打ち付けたのは担任の夜蛾だった
夜蛾「…巫山戯るなｯ」
初めて見る担任の姿に更に困惑の表情を浮かべる3人
だが非情にも淡々と時は進んでゆく…
………
(人1)side
“”死刑執行前に、継承の儀式を行う“”
……何も思うな
……何も感じるな
自分を殺せ
もし生を自覚してしまえば私は
ここにいる奴ら全員を─────
否、それは私の願い
お兄ちゃんの願いじゃない
私は今、ただの屍だ
何も思わないし、何も感じない
眼前で厳重に拘束され跪く兄の姿は
酷く痩せこけてしまい
以前の凛々しさは感じられない
暴走のためだろうか…
目は自身の呪力に耐え切れず焼けてしまい
その目に私の姿を映すことはもう無い
、、でも 良かったかもしれない
今の自分は酷い顔だろう
もしお兄ちゃんに見られたら
最期まで心配をかけてしまう
…なんだろう
本当に何もかも分からなくなってきた
もうこのままでいい
このまま何も────
、
朔空「(人1)、おいで…」
お兄ちゃんが呼んでる
朔空「今から継承を行う
兄ちゃんの近くに来ておくれ」
お兄ちゃんと目線を合わせるため
目の前に跪く
もうその瞳に私が映らないと分かっていても
お兄ちゃんの瞳にもう一度だけ…
そう願わずにはいられなかった
朔空「来てくれたんだね？
じゃあ、言った通りに頼むよ」
お兄ちゃんに前もって言われた通り
お兄ちゃんの顔に触れ
私達は互いの額を合わせた
………
2人が互いの額を合わせると
朔空の心臓の辺りがまるで太陽のように輝き出す
そこから現れたのは
燃え盛りながら煌々と輝く刀
そしてそれは(人1)の心臓へ
ゆっくりと収まってゆく
刀が鞘に戻るように
ゆっくり ゆっくりと刀は(人1)の心臓に飲まれてゆく
そこに居る者全てが目を奪われた
、
、
それはまるで夢の景色のように
、
、
、
ただひたすらに
、
、
美しい光景だった…
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作者名：ohayou | 作成日時：2021年2月15日 9時
