Lucky or Unlucky ページ9
「うわぁ。ベタベタやん。」
ふと、腕に感じた圧迫が消え
やはり聞きなれない関西弁
彼も思っても見なかっただろう、
己の父が開発した商品に図らずとも歯向かれることを。
午後4時半
人がまばらなホームにて
ビショビショな男子高校生と
すこーし濡れてる女子高生。
怪しいったらありゃしないこの状況に
普通なら眉をひそめるところを
「んふふ」
「お?」
彼は嬉しそうに口角を上げながら笑っていた。
「あ、そうだ。ソーダとかのやつにはこれが一番いいんですよ。」
ふと思い出してスクールバッグの中をガサガサを漁ると出てきた。
「へ?天然水?」
たまたま今日買ってたペットボトル天然水。
3分の1ほど減ってる中身を見て彼、もといい永瀬くんは
「おっとおの新作やん」
と苦笑
おっとおとは何者かとあえて突っ込まず
キャップを外して一歩彼に近づいたその瞬間
「…おいお前」
「すっ、すいませんでしたー!」
見事に何もないところで転び永瀬くんのローファーから靴下まで侵食する水の跡。
「何もないところでこけるとか漫画の中だけでええねん」
ついに彼の顔からも笑みが消えた。
午後5時
無造作にベンチに干されてる一束の紺色の靴下。
とその前に並ぶ2つの影。
今巷で話題になってる某有名アイドルの歌詞を交えてふざけて半ギレされましたAです。ごきげんよう。
四月の微風に吹かれてなかなか完全乾燥してくれない靴下のお陰でかれこれ3本くらい電車を見逃しています。
「あ、あの永瀬くん?
そろそろ電車乗りません?」
「勝手に乗れば?」
あの水事件から数十分
本格的に嫌わるようになってしまったようです。
「しかも、俺この駅にチャリ停めてるからええねん。」
「あ、そうですか。」
「なんなら乗せて帰ってやってやってもいいよ?」
「…はい?」
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作者名:ぽん | 作成日時:2018年3月12日 12時