Re:Because there do a love that does not end./宇宙音 ページ8
"ねぇ、しゃむ"
"ん…なぁに？"
"次はさ、何を歌うの？"
"あぁ…どうしようかな、Aは何がいい？"
"うーん、そうだねー…"
アイボリーのソファに並んで腰掛けて話す二人。
一人はふわふわした茶髪の、あどけなさが残る面持ちの青年。
もう一人は明るい笑顔が特徴的な、黒髪の少女。
３６０゜どこから見ても"仲好さげ"な二人だ。
歌が大好きな二人にとって、何気ない日常の１ページだった、無論この日も。
誰も、知らなかった。
誰も、考えなかった。
この会話が消えることになるなんて。
＊
『♪♪♪♪♪♪』
「……ん」
薄く、薄く目を開く。
目に入るのは見覚えの無い天井やアイツの顔なんかじゃなくて、見慣れた自室の掛け布団。
まぁ、横向きで寝てるから当然か。
上体を起こして、小さな溜め息を１つ
朝から憂鬱。
窓から覗く、眩しいくらいに照りつけている太陽も
目覚めがとんでもなく悪かったのも
――そしてその原因である、あの夢も。
「…あーもう、最悪。」
でも、それでも
あたしはやっぱり一人の人間で、壁に掛かったカレンダーの黒字を赤くすることなんて出来なくて。
今日も平日、大学に行かなくちゃいけない。
のそり、のそりと立ち上がって着替える。
そんななんてことない動作の中でも溢れ出てくる溜め息。
今日、この数分間で何回溜め息吐くんだ。
こんなだから講義の内容も聞けてなかったり、"無愛想"って言われて彼氏も出来なかったり。
それもこれも全部、アイツのせいだよ。しゃむのせい。
…なんて 未だに乗り越えきれてないあたしが悪いだけなんだけど。
「……はぁ…」
ほら、また溜め息。 そんな声がどこかから聞こえた気がした。
そっと一瞥した、黄色いフレームの写真たて。
中に収まっているのは、あたしとしゃむの二人だ。
あたしもしゃむもキラキラした笑みを浮かべている。
写真の右端に印刷された数字は、およそ２年前。
……そっか、もう２年か。
しゃむの歌が聞けなくなって
しゃむと笑いあえなくなって
しゃむが新しい事に挑みだして
歌い手さんを、やめて。
見るたびに胸が苦しくなる、こう、奥の方がキュッ…ってなるような感じ。
きっと、しゃむの事が大好きで仕方ないのは、今も昔も同じなんだな。って。
「…行くか」
だから、今日も頑張るよ、しゃむ。
Re:Because there do a love that does not end.2/宇宙音→←Re:from I to you./柚刃
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蒼 - すごい感動しました！ (2015年9月5日 12時) (
レス) id: dbe7dd4a88 (このIDを非表示/違反報告)
さゆ - 参加したいのですが、いいでしょうか？ (2015年4月3日 17時) (レス) id: 09d0c12b4f (このIDを非表示/違反報告)
ますく狐 - 色々な方のお話をみて僕も共感しました。 しゃむおんさんの引退発言を聞いて隣にいた友達と泣きました。聞こえなくてもいいので、しゃむおんさんたくさんの勇気を与えてくれてありがとう、がんばってください。 (2015年3月7日 2時) (レス) id: 44311eb58b (このIDを非表示/違反報告)
夜与雅(プロフ) - それぞれの作品を読んでて、しゃむくんの事が大好きなんだなって思いました。あ、あれ？いつの間にか目から汗が... (2015年1月11日 16時) (レス) id: e9489ac767 (このIDを非表示/違反報告)
悠亞@ゆあ(プロフ) - すごく感動しました(*^^*)気づいたら、涙が出てました…(T_T) これからも、頑張って下さい！ (2014年11月24日 12時) (レス) id: ab86d5dea6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しゃむ好きさん達 | 作成日時：2014年5月23日 22時
