シンデレラ・ヒストリー (ページ7)

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紫耀side

「え？」

絶望感とは、このことだと、思った。

廉「は？」

廉「どーゆーことだよ」

廉は怒りを抑えきれずに
ジャニーさんに掴みかかった。

海「ちょっ、廉、やめろって」

俺だって同じこと思った。
廉が掴みかかっていなかったら、俺が掴みかかってた。

俺たちは7人だ。今すぐAを呼べって。

喉まで出かかったその言葉は次の一言で引っ込んだ。

ジ「Aは知ってた。デビューのことを。」

玄「えっ？」

その後告げられた言葉はあまりにも残酷だった。

ジ「You達がデビューのことを直談判しに来た後に、Aだけ呼び止められただろ」

それで全てを察した。

ジ「彼らはKing & Princeとしてデビューさせるつもりだけど、Aはデビューさせられないって」

ジ「そしたらAは『デビューの時におめでとうって言っておいて。』って言った。」

ジ「Aは納得したんだよ」

勇「Aは本当にそう言ったの？」

ジ「あぁ。」

廉「なんで、や…」

今からデビューと喜んでた俺らの空気は過去最低なぐらい険悪になった。それを変えたのは、

優「…笑お。とりあえず笑お。」

岸くんだった。
　

きっと、岸くんも辛いはずなのに、
涙でくしゃくしゃの顔に無理矢理笑顔を作って、
俺らを支えようとしてくれた。

廉「なんで笑えんねん！Aは、Aは、」

岸くんに掴みかかった廉は泣いてた。

優「笑えるわけねぇだろ！ずっと7人でやってきただろ、苦しいのはお前だけじゃねぇんだよ！」

廉だけじゃない、掴みかかられてる岸くんだって、
廉と岸くんを止める他のメンバーだって泣いてた。

優「俺らがデビューして、Aの場所作って待って
るとか考えねぇのかよ！」

この時、多分メンバー皆んなが思ったと思う。
いくらポンコツでもリーダーは岸くんだって。

そして、俺らはデビューした。

Aとまた7人で笑い合うために。

でも、思う。

「4年ぶりジャニーズからKing & Princeデビュー」

そんな字と共に笑っている6人の写真を
Aはどんな気持ちで見てた？

どんな気持ちで僕達に

『ほんとだって！うちが嘘苦手なの知ってるでしょ？』

って嘘を付いた？

どんな気持ちで、今過ごしてる？

Aがいない毎日は、
まるでモノクロ写真のように色がない。