異能力じゃなくて魔術です

31 ページ33

質問した彼も遠くを眺めるような察した目をしていた
A「所で君の名前は？」
この子とは気が合いそうだと思う
絶対ビビりだって！ビビり同盟組みたい
なによりこの前の入社試験の事が知りたい

「あっ、僕の名前は中島敦です」
宜しくと、照れ臭そうに微笑む彼にこちらも「よろしく」と返す
可愛い…と思う反面知っている名前が出た事に驚いた

中島敦って山月記の人だ
国語の先生が絶対テストに出すと口煩く言っていたので私が知っている数少ない文豪の名前の１つだ
山月記って確か人が虎になるやつだよね？内容は曖昧
じゃあこの子も異能力者かな？

考えている間にも話は流れていた様で、
中島「皆さんは探偵社に入る前は何を？」

この感じだと敦くんは入社試験に受かったのだろう
まぁ受かってなかったら探偵社の人と一緒に来ないよね
そんな素朴な疑問に太宰さんは「何だと思う？」と意地悪く笑って見せる
太宰「なにね、定番なのだよ
新入りは先輩の前職を当てるのさ」

敦くんはむむっと考えてから
中島「谷崎さんと妹さんは…学生？」
太宰「おっ、当たった。凄い」
ナオミ「どうしてお分かりに？」
中島「ナオミさんは制服から見たまんま
谷崎さんのほうも…年が近そうだし勘で」

敦くんはどうやら乗り気でリズム良く答えていく

太宰「やるねぇ
じゃあ国木田君は？」
国木田「止せ！俺の前職など如何でも…」
中島「うーん
お役人さん？」
太宰「少し違う」
A「わかった！先生だ」
太宰「どうしてだい？」
A「だって国木田さんが先生なら少しの事で怒りそうで嫌ですもん」

私の答えに太宰さんは当たりだよ！とゲラゲラ笑い、国木田さんは「A、ちょっとここに座れ」とお説教を始めそうな雰囲気になったので「太宰さんは！？」と先を急かした

32→←30

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す