片想いと片想われ【桃】

想い（11） ページ11

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こんなことってあるんだ。





これも何かの縁なんだよ。






「あの…、名前を教えてくれませんか？」






今を逃したら、もうこんなことはないと直感的に思った。





気づいてたら、そう言ってて





はっとした私は咄嗟に口元を隠した。






「すみませ…、」





「小瀧望、いつもこの電車乗ってたんやけど、」





「知らんかった？」





「…ごめんなさい。」





「あー、ええって。」






小瀧望くん、ね。





小瀧くんもこの電車だったんだな。





私全然知らなかった。






「で、えーっと…、」





「名前は？」





私の方をその綺麗な瞳で見つめてきた彼は





そう問いかけてきた。






「Aです。」






「Aちゃんって言おう。」






"いい？"





…その表情はズルい。





大毅もそうだけど





私、そういう甘えるような表情に弱い。





…絶対に断れないもん。







「うん、いいよ。」






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