【テニスの王子様】幼なじみの壁越えました【幸村精市】 (ページ17)

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幸村side

ようやく夜が明けてきた
Aのいない時間はとても長く感じた

まるで時間が止まったように

大石が気を利かせてくれて、ヘリコプターには俺が乗るようにしてくれた

窓から外を見つめると、歴史のありそうな城が見えた。天井は少し崩れていたが、なにかあったんだろうか

ふと嫌なことがよぎる

瓦礫の下敷きになっていたらどうしたらいいんだ…無事を祈れば祈るほど心配になる

ぽっかり空いた穴を覗き込む。

今まで足りなかったものが戻ってきた感覚

幸「Aッ」

目頭が熱くなるのを感じる

彼女も俺の名前を呼んでいる
流れそうな涙をぐっと堪えるように

それはおれも同様で、その気持ちを抑え込むように

笑ってみせた

٭•。❁。.*･ﾟ .ﾟ･*.❁。.*･٭•。

『精市…』

余程怖かったんだろう

いつも静かに泣くAが今では声を上げて俺にしがみつきながら泣いている

やっと年相応になったんじゃないかな

こんなにも小さくて華奢な体なのにその背中はとても大きくて、たくさんのものを背負って歩んできた何よりの証拠だ

その抱えているものの中に俺もいるのかな

『精市はいないよ』

幸「A？聞こえてた？」

すすり泣きをしながらAが答える

『うん。精市は私を支えてくれる大切な人だよ。だから精市とは、肩を並べて対等でいたいんだ。

だから、その…ずっと隣にいてくれないかな？

私、精市が隣にいてくれるだけてすごく幸せな気持ちになるんだ！

精市がいるからいろんなこと頑張ろうって思えるんだよ。お？？』

俺はAをさらに強く抱きしめた

そんな風に思ってくれていたんだね

熱いものが頬を伝った

幸「あれ…？」

『ふふ笑精市もずっと我慢してたんだよね。こんなときは私に頼ってよ。

私にも精市の背負っているもの、担がせて』

そう言って俺の頭を撫でるAの手はとても安心感がある

幸「じゃあ、Aの背負ってるものを分けて。俺も君を支えたい。

ダメかい？」

『ううん！これからはツライことも幸せなことも二人で半分こしよう。

約束だよ。精市』

幸「あぁ。約束だ」

そうやってお互いの小指を絡めた