【テニスの王子様】幼なじみの壁【幸村精市】 (ページ50)

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幸「それじゃ、行ってくるよ」

『…ん。』

ベンチを後にする精市に拳を突き出す
それに気がついた精市は微笑みながら、コツンと合わせた

『精市のテニスを、この試合、楽しんで』

幸「あぁ。勝つテニスをしてくるよ」

大きいけど、どこか寂しい背中

精市の相手は青春学園の一年生
もう感覚がなくなっているのか、鼻血が出ていたことに気づいていないようだった

見てるだけで、辛い気持ちになる
やめたげてよ…その子はなんも悪くないのに

また、精市の苦しむ姿は見たくないよ

その時、眩い光が会場に放たれた。
あの子が…？なんだかふっきれたのかな、さっきとは比べ物にならないくらい、生き生きとしてる

「テニス楽しんでる？」

その言葉に私はひどく感動した
精市も楽しんでるのかな

あの言葉の後精市は見たことないくらい動揺していた。
体か追いつけてないみたい

『精市！なりたい自分を見ろ!!!!!』

幸「立海三連覇に死角はない！！」

二つに割れたボールを二つとも打ち返した
それを狙っていたかのように高く、高く跳び上がる少年

ボールが一つになるように重なった瞬間、ボールは精市を間にコートに叩き込まれる

『私より、侍っぽいじゃん。私もまだまだ鍛錬が足りないな』

誰にも聞こえないくらいの声で呟く
立海テニス部の長い戦いに幕が下りた
あの子と戦ってふっきれた精市がベンチに戻り、口を開く

幸「みんな、すまない」

その言葉にみんな何も言わず、微笑んだ
赤也くんだけがすすり泣いており、感動したと声をもらしている

『いい試合だったよ。精市』

幸「A…。一番君に勝利を見せたかったのに」

『ううん。私はあれでいいと思うよ。精市の120%見れたもん』

幸「やっとわかったんだ。Aが言ってたこと。やっぱり好きなことは楽しまないとね」

それが嬉しくて嬉しくて、次々と涙が零れる

幸「な、泣かなくてもいいだろ?」

『精市が前みたいに楽しくテニスやるところみれるって思うと嬉しくて…』

幸「A、よく聞いて。正直ここまでこれたのはAのおかげだと思ってる。

入院中も、今までも、たくさん支えてもらった。だから、これからは俺がAを守るから。俺と人生を歩んでくれませんか」

そんなの…

『私、精市以外と、今もこれからも歩んでくつもりないよ。大好き。精市』

幸「A…！！」

お互い腕を回して抱きしめあった
真夏の全国大会、幼なじみの壁乗り越えました