【テニスの王子様】幼なじみの壁【幸村精市】 (ページ46)

今日:1 hit、昨日:12 hit、合計:88,909 hit

４５ページ46

私は山風乃花(やまかぜののか)。
男子テニス部ファンクラブの会長をやってる

私も一応ミーハーの部類かもしれない。

けど、それなりにマナーとか迷惑行為については配慮してるつもり

夏休みの朝。今日も今日とて、テニスコートへ向かう。そういえばAが今日からマネージャーだったっけ？

Aとは一年のときに知り合った。最初は幸村と幼なじみと聞いていたから周りからは酷く嫉妬されていた

ある日私はAが先輩に呼び出されて、酷い言葉を浴びせられるのを見た。その頃の私はおかしく、何故か、いい気味だと思っていた。

今じゃ考えられない。あの時の私を殴りたくなる。

「ねぇ。幸村くんの幼なじみだからって、馴れ馴れしいんだよ！」

「そうだよ！毎日登下校も一緒でさ！ほんとは幸村くんだって嫌だよ！あんたみたいなチビと幼なじみなんてさ」

痛そ…殴られてるじゃん、やり返せばいいのに。

「なんか言いなよ！黙ってばっかで！」

『それは、精市が言ったことなんですか？彼が私のことそう言ったんですか？』

あれ、静かになった。とたんにあの子の声がはっきりと聞こえた

『大体、ファンクラブあること自体がおかしいんですよ。学校にそんなのいらない、彼らからすれば迷惑なだけ』

「うるさい！黙って！」

さっき言えっていったのアンタじゃん
すると、物置にあった竹刀をあの子に向かって振り下ろした

一瞬だった。軽く身を捻らせ、竹刀を交わし、床に叩きつけられる前に手で受け止めた

『竹刀をそんな風に扱うな。私に当たる分は我慢できる。だけど、侍の信念を粗末に扱うことは絶対に許せない』

上級生はあの子の殺気に腰を抜かした

可愛らしい顔からは想像すらできない鋭い目を向けると、上級生は物置を飛び出した。それと入れ違いに私は彼女に近づいた

『確か、山風乃花ちゃん…』

乃「うん。ごめん。私勘違いしてた。あなたの事ずっと、悪いように思ってた。ずっと苦しかったのはあなただったのに…」

『こんなのどうってことないよ。精市たちが楽しくテニスができなくなるよりマシだ。私も稽古に集中したいし！』

歯を見せてにっこり笑った顔は幼さがあって可愛らしかった
なんて純粋なんだろう
きっとこの時から私はAに惹かれていたんだ。何より自分が情けなかった。あの時助けに行けなかったから

これからは、私が絶対に守るって決めた