【テニスの王子様】幼なじみの壁【幸村精市】 (ページ40)

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試合が終わり、家に帰る前に病院へ寄った。
精市の手術も終わり、既に病室に移動したというので、私も向かった

一足先に弦ちゃんたちも来ていたが、その空気は張り詰めていて、今にもぷつりと切れてしまいそうだった。

『弦ちゃん…。』

真「A…。すまない…幸村の留守を預かっていたのに…」

『私に謝ることじゃないよ。誰にだってうまくいかないことくらいあるし、それがたまたま今日だっただけだよ』

きっとみんな精市のために、頑張ってくれたんだ。

部長がいなくて一番大変だったのは副部長である弦ちゃんだと思う。

不安で仕方ない日々が続いていたから、心配していたけど、弦ちゃんは屈強な精神力で乗り越えてきた

本当にすごい人だ

『責任を感じるのも仕方ない。だけど、みんなには次がある。

私は今日で終わっちゃったけど、まだみんなは終わってない。

これからだよ、立海テニス部の戦いは…今度は精市もいる…だから、

"しゃんと背筋伸ばして、前を向け！！"』

みんなが顔を上げる。目元が赤くなっていた。そんな中歯を食いしばっていた赤也くんが口を開く

切「A先輩…！俺、悔しいんす！！幸村部長がいない間絶対立海の名前を傷つけたくなくて…」

柳「赤也…。」

『そういうことならさ、今からまた始めればいいんだよ！希望がなくなったわけじゃないんだから！』

丸「これから…これからなんだよな！」

桑「俺たちはここから…！」

仁「勝つぜよ…。」

比「ええ！ぬかりはありません」

良かった…みんなまだ諦めてない。
ちゃんとわかってるじゃん…

全国大会までの数週間で自分を磨いて、自分のテニスに仕上げてほしい

この時、私は気づいていなかった。

みんなが勝つことばかり考えてしまっていることに

必ず勝つ。負けてはいけない。これが王者の掟という絶対的な鎖が彼らを蝕んでいく

あまりの大きな出来事に冷静さを保とうとしてた彼らが、少し焦ってしまったんだ

これは精市も例外じゃなかった

そう、ここからだったんだ。本当の勝負は…

"勝つことに執着した"みんなを救い出すこと。

それが私の使命になること。

私はまだ知らない。