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加州はそう言うなりコハクの足に自身の体をすりすりと猫のように擦り付けてきた。彼の顔を見てみると、焦点が合っていないようだ。それに加え、ボロボロと情けないぐらいに涙を流している。これは何を思ってやっているのだろう。そう考えたコハクは意図が読めず思わずぞっとさせられる。
「ごめんね…えっと…光忠君と大倶利伽羅君と…小狐丸さんに会って、そこで話をしてたんだ。だから、加州君の事を見捨てたわけじゃ…決してないよ」
コハクはとりあえず加州のこの状態をどうにか抑えるために、簡潔にそして教える様にそう言葉を吐いた。そうすれば、落ち着いてくれるんじゃないかと思ったのだ。が。
「そ…そうなの?でも、やっぱり…俺なんて汚くて気持ち悪くて不細工で…。…うん、やっぱり手入れはいいや。」
散々な自虐の言葉たちを並べるとすぐに、加州は口の橋を異常にひきつらせた。これはまずい。そう直感的に思ったコハクは口を咄嗟に開く。
「えっ…だ、だから、僕は元気な加州君が…」
「もっと、何もない方がいいのかも…」
コハクの声などもはや加州には届いていない。加州はぼそりとそう呟くと隣に置かれている加州清光の刀をまだ有る左手で抜いた。そして、右足に突き立てた。
「?!や…やめてッ!!そんなことする必要ないじゃない!!」
気付けばコハクは大声で加州を怒鳴りつけていた。でも、やはり彼にコハクの声は届いていない。ただただ自身の右足を見て、異常に…笑っているだけであった。
「こうすれば…もっともっと可愛くなって…主に愛される…」
「やめろッ!」
どうすれば彼の行動を止められるのか、そう考えた時に出たものはやはり言葉ではなく無理にでも止めるという力ずくの方法であった。しかし相手は鍛えに鍛え抜かれた刀剣男士の一人。そう簡単にできるだろうか。
「(そんな事、関係ない、何としてでも、とめないと____)」
その時だった。
「全く、貴方は新しい主にもそのような姿をさらすのですか…?」
静かに、流れるように彼は加州から刀を奪い、鞘に納めた。そして一撃。彼は加州の首の裏を軽くたたいた。それきり、加州はびくともしない。(気絶させるには確か首の後ろをたたいてやるといいらしい?)
加州を気絶させ、横たえてあげるやいなや、彼はコハクの方をむいた。そして、悲哀に満ちた溜息をついた。
「貴方が…新しい主ですか。私は江雪左文字。よろしくお願いします」
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天津 - そして、ずっとほったらかしの加州君。 (2019年5月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
花月 - へし切りは織田組ですね!伊達組は燭台切光忠と鶴丸国永と大倶利伽羅ですよ!! (2015年5月7日 5時) (レス) id: cdb733f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
かなた(プロフ) - 花月さん» 了解です!ええと、へし切り長谷部は伊達組…でしたっけ?うろ覚えなものでして… (2015年4月22日 22時) (レス) id: 1e0c3c4303 (このIDを非表示/違反報告)
花月 - 伊達組を加えて欲しいです!お願いします!! (2015年4月22日 20時) (レス) id: 5d2f7380bb (このIDを非表示/違反報告)
かなた(プロフ) - 白衣さん» コメントありがとうございます!両者ともに出そうかと思います(`・ω・´) (2015年4月20日 21時) (レス) id: 7df494310f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かなた | 作成日時:2015年4月19日 3時