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「あの…えーっと…名前教えてもらってもいいですか?」
彼の症状から見るに、彼は完全にコハクの事をを良くは見ていない。むしろ、恐怖の対象として見ている事がよくわかる。出来るだけ刺激しないよう優しく言う。するとその青年はか細い声で答えた。
「獅子王…です。その…あの…何が望みです…か」
「獅子王君ですね、よろしくお願いします。望み…はないけど…どうしたの?」
「いえ…ッ、その…俺なんかが声をかけて…ごめん…なさいっ」
「えっ、いやいや、声をかけたのは僕ですし…」
獅子王はそう言うなりコハクから目を完全にそらし、はあはあと荒い息使いをした。相当な負荷がかかったのだろう。それにしても何故、彼はこんなにも審神者であるコハクに恐怖しているのだろう。そう考えた時に途端に浮かんだのは前審神者の事だった。
「僕は新しい審神者だから色々なれないところがあると思うんだけど…大目に見てくれると嬉しいな。じゃあまた後でね」
これ以上の接触は彼に害をなすだけだ、そう思いコハクは部屋を出た。
「…次はっと」
コハクは一つ溜息をつくと、隣の部屋へと向かった。そして再び丁寧に障子を開けた。
「失礼しまーす、えっと新しく審神者になったコハク…です。よろしくお願いします」
今度は頭は下げず、そこに入るであろう刀剣男士の様子をうかがう事にした。コハクの目の前に映った青年、それは異質だった。何故なら、右腕、左足、そして左目を…消失していたからだ。しかもそれなのに関わらず、当の本人はにこにこと笑っている。
「新しい主さまかぁ…俺は加州清光、よろしくね。可愛くしてるから、大事にしてね」
加州はそう言うなりコハクに這いより、左手だけでコハクを抱きしめた。何かをねだるような彼の目を見て、思わずぞっとした。何がこの本丸にあったのか、全く見当がつかなくなってきた。
「…」
「…?どうしたのさ主、まさか昼だけどそういう事したくなっちゃたの?いいよ、夜伽の命なら喜んで応じるけど」
「…いや、加州君えっと…その、なんで右腕とか左足とかが…ないの?」
これはタブーな気がする。けれど、わからない事には元も子もない。コハクは声を静め、慎重に聞く。が、帰ってきた反応は考えていたものと真逆のものであった。
「え、だって不完全の方が前の主が可愛いって言ってたから。いつでも刀本体の手入れをすれば治るんだけど、俺は可愛い方がいいから、そのままなの」
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天津 - そして、ずっとほったらかしの加州君。 (2019年5月14日 17時) (携帯から) (レス) id: 46e1741f78 (このIDを非表示/違反報告)
花月 - へし切りは織田組ですね!伊達組は燭台切光忠と鶴丸国永と大倶利伽羅ですよ!! (2015年5月7日 5時) (レス) id: cdb733f0c7 (このIDを非表示/違反報告)
かなた(プロフ) - 花月さん» 了解です!ええと、へし切り長谷部は伊達組…でしたっけ?うろ覚えなものでして… (2015年4月22日 22時) (レス) id: 1e0c3c4303 (このIDを非表示/違反報告)
花月 - 伊達組を加えて欲しいです!お願いします!! (2015年4月22日 20時) (レス) id: 5d2f7380bb (このIDを非表示/違反報告)
かなた(プロフ) - 白衣さん» コメントありがとうございます!両者ともに出そうかと思います(`・ω・´) (2015年4月20日 21時) (レス) id: 7df494310f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かなた | 作成日時:2015年4月19日 3時