Side ページ8
怖かった。
正直、彼と話すのは。
何より、だって彼だから。
私と彼の、幼馴染である彼だから。
どうして、私を呼んだの?
そんな疑問が渦巻くばかりで、彼はただ、
暫く私を見つめていた。
翔平「ごめんな、急に呼び出して。」
「ううん。どうしたの?」
やっと発せられた彼の言葉に
出来るだけ普通に、平静を装って。
翔平「………」
少し悩むように黙り込んで、また彼は口を開いた。
翔平「Aはさ、どう思ってんの? 樹のこと。」
悩んだ割には、単刀直入な。
真っ直ぐな言葉。
「どう、って。」
翔平「………。」
私の返事を待つように、ただ真剣に。
真っ直ぐな瞳。怖いくらいに。
.
「好きだよ。今も、ずっと。」
翔平「…そっか。そうだよな。」
「でもね、仕方ないの。」
翔平「…え?」
「光を浴びる樹達と、影を支える世界で生きる、私。」
「全然違うの。全然、生きる世界も、見ている世界も。」
「何もかも、違うの。」
私のまとまりのない、ぽつぽつと話すだけの言葉に、
彼は真剣に耳を傾けてくれているのが痛いほど伝わる。
「全部全部、だから。」
そこまで言って、息が詰まった。
溢れ出て来そうなそれを、必死で堪えて。
「最初から、こうなる運命だったの。」
翔平「っ、それは!」
「…でもね。樹と出逢った事に意味がないなんて言わない。」
翔平「、っ」
「樹が私を愛してくれた時間も、樹を愛した時間も無駄じゃなかったから。」
「私は全部、幸せだったの。だからね。」
「これでいいの。今は辛くても、これがいいの。」
一筋、生暖かい物が頬を伝ってそれを隠すように俯いた。
でもきっと、彼には気付かれてた気がする。
沈黙。
時々窓をすり抜けて風が通る音が聞こえる。
顔を上げた、彼を伺うように。
私より、遥かに泣きそうな彼の顔がそこにあった。
今にも零れ落ちそうな涙をいっぱいに溜めて、
唇を引き結んで。
「どうして翔平が泣くの、」
翔平「二人が、だって、まだ。二人とも好きなのに、なのにこんな、だって、」
翔平「ごめん、おれ、俺が泣いちゃだめなのに、」
翔平の言葉がまとまらなくなって、
翔平の言葉が途切れる。
そのあとは、彼のすすり泣く音と
それを見て溢れた私の涙の音がただ、
鳴って暫く止まなかった。
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ルーヴ(プロフ) - 秋さん» はじめまして! All dayを拝読頂き、ならびにご指摘ありがとうございます! こちらの二点、修正完了致しました! 隙間時間に書いていることもあり、誤字が多くお恥ずかしい限りです…。これからも何かありましたらご指摘感想、宜しくお願い致します! (2019年12月11日 16時) (
レス) id: 2dc1554635 (このIDを非表示/違反報告)
秋 - 続けてのコメントですみません(>_<) 物語読んでいて気が付いたのですが...。 引き寄せてのここの台詞 彰吾「…恋愛は禁止。今の時点で絶対に。それが無かったとしても、俺はあいつに相談相手でありたいの。」 これ正しくは俺はあいつの相談相手ではないんでしょうか？ (2019年12月11日 15時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
秋 - こんにちは(*^^*) はじめまして。 物語読んでいて気が付いたのですが...。 零時のここの部分 愛した彼の名前を読んだ声は、 これ正しくは名前を呼んだではないんでしょうか？ (2019年12月11日 15時) (レス) id: 4332e38eb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルーヴ | 作成日時：2019年11月12日 12時
